2022年10月、鈴鹿で3年ぶりとなるF1日本グランプリが開催された。優勝を飾ったのは、ホンダのパワーユニット(PU)を積んだレッドブルだ。ホンダは21年にチャンピオンに輝き、表向きはF1から撤退したが、いまもレッドブルにPUを供給し続け、圧倒的なパフォーマンスを発揮している。しかし、2015年シーズンからは負け続きで、優勝できるとは誰も思わないような状況だった。なぜ、再生できたのか。『ホンダF1 復活した最速のDNA』(幻冬舎)より、一部を紹介しよう――。
フェルスタッペンはホンダに30年ぶりのチャンピオンをもたらした
写真提供=『ホンダ復活のDNA』より
フェルスタッペンはホンダに30年ぶりのチャンピオンをもたらした

誰も予想しなかったラストイヤーの勝利

2021年、ホンダのラストイヤー。

レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは全22戦中、優勝10回、2位8回を記録した。表彰台に立てなかったのは、わずか4回だった。

ドライバーズポイントは395.5を獲得し、初のチャンピオンとなった。

ホンダにとっては、30年ぶりのドライバーズチャンピオン。このアブダビGPでのフェルスタッペンの勝利が、ホンダにとってのF1通算89勝目となった。

チームメイトのセルジオ・ペレスも健闘した。全22戦中、優勝1回、3位4回と5度の表彰台を勝ち取り、ドライバーズポイントは190ポイントで4位に入った。

一方で、コンストラクターズポイントでは、メルセデスの後塵を拝した。

レッドブル・ホンダは優勝11回、2位8回、3位4回、585.5ポイントで2位。メルセデスは優勝9回、2位9回、3位10回、613.5ポイントでチャンピオンを獲得した。

しかし、誰がこの結果を予想しただろうか。

2015年シーズンから通算4度目の参戦を果たしたものの、マクラーレンとのコラボレーションではまったく歯が立たなかった。苦しく厳しい状況が続いたあと、マクラーレンとはたもとを分かった。

2018年にトロロッソと組んだことが2019年からのレッドブルとのコラボレーションにつながり、その年のオーストリアGPで復帰後初勝利を飾った。しかし、2020年シーズンまでは、王者メルセデスとの間には埋めがたいほど歴然とした差があった。

レッドブル・ホンダのコンストラクターズポイントは、2019年417ポイントで3位、2020年319ポイントで2位になった。順位こそ上がったが、メルセデスとの差は2019年で322ポイント(メルセデス739ポイント)、2020年で254ポイント(メルセデス573ポイント)だった。歯が立たないという表現が適切なほど、大きな差があった。

そのような状況で、2020年に翌シーズン限りでの撤退が発表された。