上昇を続けるBEV価格
日産サクラとリーフの値上げが発表された。サクラはベースモデルで16万600円、最上位モデルで10万100円の値上げ。リーフは40kWhバッテリー搭載車で37万1800円、60kWhモデルではなんと102万8500円の値上げである。バッテリー搭載量が多いモデルのほうが値上げ幅が大きくなっている(サクラは20kWhバッテリー搭載)。
この2車に限らず、BEV(バッテリー電気自動車)の価格は軒並み上昇している。
テスラも、モデル3を中国生産に切り替えた2021年初頭には429万円で買えたのだが、その後小刻みな値上げを繰り返し、2022年12月現在では596万4000円にまでなっている。なんと2年弱で167万円の上昇である。
アメリカでも同様で、2019年に3万4990ドルから買えたモデル3が、現在では4万8190ドルである。約180万円の値上げだ。
フォードが2022年4月に約4万ドルで発売したBEVトラック「F-150ライトニング・プロ」はわずか半年後の10月に5万6000ドルに値上げになっている。約40%、220万円の値上げである。
「50万円EV」で話題となった中国で最も売れているBEV、宏光(ホンガン)ミニEVも発売当初の2万8800元から3万2800元(約64万円)と値上げになっている。
リチウム需要が急騰
これらの値上げの主たる要因は、バッテリーのコストの大幅上昇である。
自動車メーカー各社がEVの大増産に取り組んでいるため、大量生産により製造コストは大きく下がっているはずなのだが、リチウムイオンバッテリーの製造に不可欠なリチウムの価格が今年に入って一気に高騰しているのだ。
2020年は1トンあたり4万元(中国元)を下回っていた価格が2021年前半には9万元に上がり、2022年5月には50万元、11月には60万元にまで上昇しているのだ。2年で15倍である。
リチウムは200年近い埋蔵量があり、枯渇の心配はないといわれていたが、今までのリチウムイオンバッテリーの需要はスマートフォンやPCなどが主体であり、EVが一気に普及するとなると話はまったく変わってくる。