トヨタ自動車は、11月16日、5代目となる新型プリウスを公開した。自動車評論家の小沢コージさんは「マジメなプリウスがここまでイケメン化するとは思っていなかった。これからのハイブリッドカーは総合力でEVに対抗する必要がある。新型プリウスはそうした課題に対するトヨタの答えだ」という――。
新型プリウス
画像提供=トヨタ自動車

4代目と5代目ではまったく違うクルマになった

みなさん、どう思われました? そう、11月16日に久々に国内で世界初公開された新型5代目プリウスです。

プリウスはご存じ日本のトヨタが世界に先駆けて生み出したエコカーのビッグネーム。ガソリンエンジンと電気モーターを共に備える量産初のハイブリッドカーとして生まれ、一世を風靡ふうびしました。

初代は今から25年前の1997年に登場。当初から10・15モード燃費は28.0km/Lとなかなかでしたが、室内が狭かったり、パワー感が薄かったりしてさほど売れませんでした。しかし2代目以降、パワーアップはもちろんセダンボディをハッチバック化。サイズも3ナンバー化して実用性アップ。特にホンダ・インサイトと競い合った3代目は国内でも爆発的にヒット。一時は年販30万台以上を記録しました。

そして2015年発売の現行4代目も独特デザインに賛否こそあれ、当初は順調に売れていたのですが今回の5代目は大変貌を遂げることになりました。

一体なぜか? それは一言でいうと時代が大きく変わったからです。

マジメなプリウスがイケメン化

まず小沢的に予想外だったのは大きく次の2点。エクステリアが予想以上にスタイリッシュだったこと。

スポーツカーのような低いノーズにセクシーかつ流麗なリアスタイル。正直、マジメなプリウスがここまでイケメン化するとは思っていませんでした。

もちろんプリウスのテーマは省燃費であり、いかに化石燃料を使わず走れるか。それだけに今まで以上に無駄を削った空力デザインになることは予想していました。ある意味、新幹線や最高速チャレンジカーのような空気を切り裂くデザインです。

新型プリウス
撮影=小沢コージ

ところが現実には空力に加えてカッコ良さまで配慮。スペックは明らかになっていませんがフロントウィンドウは極端に寝かせられ、乗ると頭上は狭そうですし、乗り降りも不便そう。ただしその分、空気抵抗が少なく、かなりの低燃費で走れるはず。

その上でリアの曲線をはじめ感情豊かなのです。合理的デザインなだけでなく、見た目にも美しいという。