タクシー専用車になるアイデアも
そんな中で迎えた5代目のモデルチェンジ。開発陣の中には「プリウス終焉」のイメージもよぎったといいます。しかしネームバリューは変わらず高いですし、バッテリーEV化が進んでいるとはいえ、世界的に乗用車販売の1割以上をEVが占める市場はまだまだ少ない。
そんな中、開発方針決定には紆余曲折もあったようで、今回のエモーショナル化とは別に、燃費をより高めてコモディティ化する方向もあったようです。中にはプリウスをタクシー専用車にするアイデアまで!
しかしプレゼンを担当したトヨタ自動車クルマ開発センター、デザイン領域統括部長のサイモン・ハンフリーズ氏によれば、最終的には開発陣が提案したエモーショナル化戦略が通ったとのこと。
これまでのハイブリッド戦略の反省
そこにはトヨタハイブリッド戦略の反省とバッテリーEVの攻勢があります。
既にヤリス・ハイブリッドやアクアをはじめ、プリウスより燃費の良いトヨタ車は沢山あります。そんな中、新型はよほどの低燃費じゃなければ存在感を発揮できませんし、その分不便になったら意味はありません。現在のハイブリッド客は舌が肥えているのです。
そうでなくとも実燃費でリッター20~30kmを超えてしまえば、日本ではさほど意味を持ちません。そもそも長距離を走る人は少なく、言うほど燃料代に差がでないからです。
それよりプリウスは初代から常にスタイルや走りで問題を抱えていました。初代は言うに及ばず、デザインに力を入れた先代も個性が強すぎて嫌う人がいました。日本ではさほど問題視されていませんでしたが、欧州を中心に独特のスピードとエンジン音が連動しない「ラバーバンドフィール」も指摘されていました。
加えていまバッテリーEVのほとんどは、加速力はもちろん静粛性や滑らかさに優れています。