日産サクラ1台でスマホ約1800台分のバッテリー

スマートフォンのバッテリー容量は3000mAhx3.7V=11.1Whくらいであるが、軽自動車の日産サクラでも20kWhのバッテリーを搭載しているので、1台でスマホ約1800台分のバッテリーを搭載していることになる。

テスラ・モデルSならば100kWhのバッテリーを搭載しているので、スマホ約9000台分だ。

編集部註:初出時、スマートフォンのバッテリー容量の計算に誤りがあったため訂正しました。(12月28日10時28分追記)

2022年上半期のプラグイン車(BEVとPHEV)の販売台数は、前年比62%増の430万台に達している。これだけのリチウムイオンバッテリーの需要がここ数年で爆発的に増加したのだ。

埋蔵は南米、生産は中国に偏重している

需要が増えたからといって生産はそう簡単には増やせない。リチウムが採れる場所は限られている。世界の推定埋蔵量はボリビア、アルゼンチン、チリといった南米諸国に偏在しているのだ。

しかし、南米のリチウムの多くは塩湖から潅水かんすいを汲み上げて水分を蒸発させる方式で生産しており、生産量を短期間で大幅に増やすことは物理的に難しい。塩湖周辺の環境破壊という問題も増産を難しくしている。

オーストラリアや中国では、リチウム鉱石からリチウムを取り出す方式で生産しているが、なんとその精製プロセスはほとんど中国で行われている。精製の過程で有害な廃棄物がたくさん出るため、環境規制が緩い中国に集中する結果になっている。

ガソリン車とEVの価格差は広がる一方…

またどちらの方式でも生産に多くのエネルギーを要し、現状ではその燃料に化石燃料が使われている。EV化の目的はCO2の削減であるわけだから、その要であるバッテリーの製造に多くの化石燃料が使われるのでは本末転倒だ。

本来は製造のためのエネルギーもカーボンフリーないしカーボンニュートラルのエネルギーに置き換えなければならないが、そのためにかかるコストと時間はかなりのものになるはずだ。