BEV化を進めるほど中国が有利に…
このように、BEVの世界では中国がすでに圧倒的なポジションを築き上げている。日欧米メーカーは安くBEVを作ることが難しくなっており、高級BEV以外の普及価格帯のBEVは中国製に席巻されてもおかしくない状況である。
トヨタもBEVに関してはBYDと提携しており(せざるを得なくなっている)、先日中国で発売されたモデル(bZ3)はBYDとの共同開発車だ。BEV化を進めようとすればするほど中国に利することとなるのだ。
前述したとおり、BEVは当面の間価格が高くなることはあっても安くなることは期待薄である。安いBEVを買おうとすれば選択肢は中国車しかない、という状況も見え始めている。
このような状況の中、本当にBEVを普及させるのが正解なのか。
BEVを普及させる意味はCO2の削減である。しかし高価で使い勝手も悪いBEVを20%まで普及させたところでCO2の削減率は20%だ(生産の際に排出されるCO2を無視したとしても)。
BEV1台分のバッテリーでハイブリッド車を80台作れる
一方、日本のメーカーが得意とするハイブリッド車はどうか。
プリウスに搭載されているリチウムイオンバッテリーの容量は0.75kWh程度とみられ、最近主流の60kWh級バッテリーを搭載するBEVの80分の1である。
つまり、BEV1台分のバッテリーでハイブリッド車を80台作れるのだ。コストも通常のガソリン車より若干増えるだけで済む。航続距離はガソリン車より長くなって使い勝手が向上し、インフラは今までのままでいいのだ。世界中どこであれ、BEVに比べて圧倒的に普及させやすい。