バッテリーは中国の独壇場
もう1つBEVには大きな問題がある。
ここ数年の中国におけるBEVの普及スピードはすさまじいが、これは国策として行っているからだ。中国はリチウムの産出国であり、世界の埋蔵量の10%弱を占めている。リチウム鉱山の開発も、中央集権国家である中国はほかの国より圧倒的に有利に進められるだろう。また前述したとおり、リチウム鉱石の精製は中国の独壇場である。
国策としてBEVに取り組んだ結果、今や世界のEV用リチウムイオンバッテリーのシェアの34%を中国・CATL社が占めるようになり、断トツのナンバー1メーカーとなっている。中国2位のBYDも12%で、10%のパナソニックを抜いている。中国メーカーを合計するとそのシェアは56%に達する。
CATLは中国メーカーだけでなく、世界の主要自動車メーカーにバッテリーを供給している。現在日本で売られているテスラのモデル3とモデルYのバッテリーはすべてCATL製で、日産アリアのバッテリーもCATL製だ。その価格競争力は圧倒的で、日欧米のメーカーは今から努力しても追いつくのは非常に困難な状態となってしまっている。
世界最大のプラグイン車メーカーは中国・BYD
バッテリーだけでなく、中国におけるBEVの生産も勢いが増している。
2022年上半期、BYDのプラグイン車の生産台数は、前年比320%増というすさまじい伸びを見せている(データは前述のCleanTechnicaなどのサイトを参照)。テスラも46%増やしているが、BYDに一気に逆転され、今や世界最大のプラグイン車メーカーはBYDとなっている。
2022年10月の数字を見ると、BYDのプラグイン車の販売台数は21万7219台で、そのうち10万3157がBEVとなっており、BEVに限定してもテスラの8万221台を大きく超えている。
BYD製品の品質も短期間で見違えるほど向上しており、中国内ではテスラの商品力が相対的に低下して販売不調となり、バッテリー価格が上昇しているにもかかわらず、中国では10月に9%の値下げに踏み切らざるを得なくなっているほどだ。
BYDは日本をはじめ世界市場に進出を始めており、BEVとしての競争力はすでに非常に高いレベルにあると言っていい。