上司が一番困るのは正直に状況報告してくれないこと

では、問題が発生したときに、どう進めていけばいいのでしょう? それは、周りを巻き込んで問題を解決することです。

仕事はひとりでするものではありません。人に頼ってもいいですし、頼ることがチームのためでもあります。仕事は学校のテストとは違い、カンニングが許されます。私は、これがわかっていませんでした。私は新人時代、仕事を抱え込みがちでした。ポンコツだけど、できない人と思われたくなかったし、怒られるのもイヤだったからです。そして、納期ギリギリまで案件を抱え込んでしまい、最後になって上司に仕事を巻き取ってもらう……。

ビジネスマンが部下から報告を受ける
写真=iStock.com/metamorworks
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自分のために、上司を休日出勤させてしまったこともあります。現在、チームリーダーとして働く私がこれをやられたら、非常に困ります(笑)。

上司にとって一番困るのは、部下が仕事を完遂できないことよりも、正直に状況を報告してくれないことなのです。

私のしくじり体験からみなさんに伝えたいのは、仕事の報告をした時点で、責任はあなたではなく、部下の仕事を管理している上司に移るということです。

上司は部下から報告を受けた時点で、仕事の進捗が芳しくなければ何かしらの対策を打たなければなりません。でも、報告がなければ上司も手の施しようがないでしょう。

怒られたくない気持ちはよくわかります。ただ、ここで怒られたとしても、上司に爆弾をプレゼントするよりダメージは少ないはず。

社会において、ひとりで完結する仕事は少ないのです。自分だけで責任が取れる仕事も多くはありません。チームワークを意識し、「苦手なことは助けてもらう」「得意なことで相手を助ける」を実践して、メンバーに配慮のある仕事を心掛けましょう。

上司への正しい報告の仕方

「その仕事、あとどれくらいで終わりそう?」。上司の言葉をその通りに受け取って「あと2時間です!」と返事していないでしょうか?

残念ながら、上司が知りたいのはそこじゃないんです! 上司が知りたいのは「全体像」。つまり、「あと、どれくらいで終わる?」は、意訳すると「全体のうち、何割くらい進んでる?」です。

そこで、見栄を張る必要はありません。遅いのは恥ではありません。大事なのは、遅いなりに「正直に経過報告をすること」です。「全体の3割しか終わっていないので、あと4時間はかかりそうです」と伝えましょう。

また、先ほど「仕事はひとりで抱え込まない」「上司に報告をした時点で、責任はあなたから上司に移る」というお話をしたかと思います。これは何も、自分が怒られないためにそうしろと言っているわけではありません。「自分で処理しきれない課題は、実力者に解決してもらおう」ということです。

プロジェクトの責任を取るのは、チームリーダーです。ですから責任者が早めに決断をくだせるよう、部下はパスを出すべきなのです。

一番やってはいけないのは、最後まで我慢、限界まで言わない、沈黙すること。私は「ちんげんさい」とよんでいます。ポンコツさんは、「困ったら、使える奴に、投げる」の「こまつな」を教訓にしてください。