大きな塊を小さく分けて考える「分解思考」のノウハウ

続いて、4位以下から、注目の書籍をご紹介します。第4位は『小さく分けて考える』でした。書名の通り、大きな塊を小さく分けて考える「分解思考」のノウハウを教えてくれる一冊です。

菅原健一『小さく分けて考える』(SBクリエイティブ)
菅原健一『小さく分けて考える』(SBクリエイティブ)

分解思考のコツは、かけ算を使うこと。たとえば「自社サイトのウェブデザインのクオリティを上げてほしい」という要望が出たときには、「クオリティ」を「わかりやすさ」×「速さ」に分解してみましょう。

「クオリティを上げてほしい」とだけ言われると、何をしていいか困ってしまうもの。そこでお題を「わかりやすく、速くしてほしい」と分解できれば、ネクストアクションが明確になるはずです。チーム内での議論もしやすくなるでしょう。

アイデアを磨くために、反対の要素を挙げてみるのも効果的です。「数字」と「感情」、「短期」と「長期」、「おもしろい」と「堅実」……といった具合に要素を増やしていくと、これまでになかった視点が見つかり、発想が豊かになるかもしれません。

著者自身、分解思考によって、想像以上の実績を残すことができたと語っています。頑張っているのに成果が出ない、生産性を上げたい、ビジネスパーソンとしての強みが欲しい……そんな人にぜひ手に取ってほしい一冊です。

リスキリングなしに熾烈な競争を勝ち抜けない

第5位の『リスキリング』にもご注目ください。

 後藤宗明『リスキリング』(日本能率協会マネジメントセンター)
後藤宗明『リスキリング』(日本能率協会マネジメントセンター)

最近よく耳にするようになった「リスキリング」という言葉。もしあなたが少しでも関心を持っているなら、リスキリングの定義から実践のステップ、これからの展望までを解説した本書を手に取ってみませんか。

本書によると、リスキリングとは「新しいことを学び、新しいスキルを身につけ実践し、そして新しい業務や職業に就くこと」。

リスキリングは10のプロセスで実践できます。

(1)現状評価
(2)マインドセットづくり
(3)デジタルリテラシーの向上
(4)キャリアプランニング
(5)情報収集の仕組みづくり
(6)学習開始
(7)デジタルツールの活用
(8)アウトプットに挑戦
(9)学習履歴とスキル証明
(10)新しいキャリア、仕事の選択

中でもポイントとなるのは「(2)マインドセットづくり」。リスキリングを始めると、思い通りにならない事態が発生し、不安や苛立ちが生じて、やる気をなくしてしまうこともあるはず。

そんなときは「自分をリスキリングしている」と前向きに捉えてみましょう。やがて自分で解決できるようになり、自信がついて楽しくなっていくはずです。

デジタル化が進む現代において、リスキリングなしに熾烈な競争を勝ち抜くことはできません。人生100年時代の必読書として、特に若いビジネスパーソンに読んでほしい一冊です。