給料は増えず、ポストは減り、雇用やキャリアに対する不安も大きい。こんな希望のない環境の中で人々が感じる「働きがい」や「働きやすさ」はどんな風になっているのだろうか。
調査概要/「gooリサーチ」とプレジデント編集部の共同調査により、インターネットを通じて全国の20歳以上の男女2014人より回答を得た。男女比はおよそ7:3。調査期間は2010年2月19~22日。アンケート質問の作成には、一橋大学大学院商学研究科 守島基博教授の研究チームの協力を得た。

不安定な雇用に、約束されない定期昇給。ビジネスパーソンを取り巻く労働環境は、残念ながら暗いニュースばかりが先行している。明るい展望を容易に描けない時代において、モチベーションを維持するのも至難の業だ。

そこで、プレジデント編集部では約2000人を対象に、働きがいや働きやすさについての意識調査を実施した(回答者総数2014人)。回答者の属性は正社員約78%、非正規約22%で、現在の多様な雇用形態が反映されている。その結果を役職や年代、年収ごとにクロス分析した。逆風が吹きすさぶ中、ビジネスパーソンは何に働きがいを見いだしているのか。いまどきの仕事観、職場観をさっそく探っていきたい。

ワークライフバランスの重要性が指摘され、仕事一辺倒のライフスタイルが見直されつつある。しかし、仕事そのものが軽視されているわけではないようだ。

「生活の中で、仕事は重要で有意義」と考える人は、どの役職でも半数超。「誇りの持てる仕事をしたい」と考える人は全体で7割。どちらも高い数字だ(図1、2)。ところが、現在の会社に働きがいを感じている人は、一般社員で4人に1人、課長・部長で3人に1人にすぎない(図3)。一橋大学大学院商学研究科教授の守島基博氏は、結果を次のように読み解く。

「これまで企業は新人教育で、『頑張って出世すれば大きな仕事を任され、意義や誇りをより強く感じられる』と教えてきました。しかし、過去10年で管理職ポストの削減が進み、誰もが昇進できる状況ではなくなった。いずれ大きな仕事をすることを期待して、今の仕事にやりがいを見出す。そうしたキャリアを描くことが難しくなり、閉塞感を感じている人が多いのではないか」

世代別で見ると、働きがいをもっとも感じていないのは、バブル入社組の40代前半(図4)。同期の人数が多くてポストにありつけず昇進できても部下のいない担当課長、では働きがいを感じられないのも致し方ないのかもしれない。