頑張って結果を出せば報酬が増えるという成果主義の浸透が働きがいを低下させていたとしたら、じつに皮肉な話だ。“放置されたミドル”の悲哀が伝わってくるのが、会社への信頼感に関する質問だ。「困ったときは会社が助けてくれるという信頼」について「弱い」と回答した人は、40代では過半数を超える(図28)。職場の連帯感に関する質問でも、ミドルの孤独がわかる。「この2年で職場の連帯感が薄れた」と感じる人は全体で約3割だが、中間管理職になると、この割合が増えるのだ(図29)。
「連帯感の欠如は、組織がチームから個にシフトしていく時代の反映でしょう。NHK『プロジェクトX~挑戦者たち~』から『プロフェッショナル 仕事の流儀』への衣替えに象徴されるように、チームで成果をあげるより、個人としての成果が問われる時代になった。その流れの中で、マネジメントを担うミドルが連帯感のないメンバーを率いて、苦労している印象です」(守島基博氏)
個人のパフォーマンスが問われる時代になり、働きがいを求める対象が変わったという指摘もある。日本CHO協会事務局長の須東朋広氏は次のように話す。
「専門性を身につけて自立的に働くことができるビジネスパーソンにとって、もはや働きがいは会社から提供されるものではなくなりました。働きがいを求める先は、会社より仕事そのもの。仕事を通じて成長感や達成感を感じることができれば、働くステージは必ずしもその会社、職場でなくてもいい。会社への信頼感や職場の連帯感が薄れているのも、会社に頼らない自立心の表れでしょう」
第2回(>>記事はこちら)で紹介した独立志向や転職志向のデータを見ても、たしかに潜在的な自立願望は見て取れる。しかし、ミドルは会社から放置されつつも責任だけは負わされて、家庭でも大きな役割を担い身動きが取りづらい立場にいる。