「パクツイ」は権利の侵害に当たるか

【Q2】バズっているツイートがまわってきたのですが、その文面は自分が去年書いたものそのままの、「パクツイ」でした。

【A2】そもそも、元のツイートが著作物にあたるかどうかが問題となります。140字をフルに使ったツイートは著作物にあたる可能性もありますが、ただの日常のやりとりが著作物にあたるとは考えにくいでしょう。元のツイートが著作物として認められるものであれば、「パクツイ」やスクショでの再投稿は、複製権、公衆送信権の侵害にあたります。

なお、元のツイートを見たわけではなく、本当にたまたま一言一句同じツイートをしてしまったという場合は、元のツイートが著作物にあたる場合でも著作権侵害にはあたりません。

小林航太『オタク六法』(KADOKAWA)
小林航太『オタク六法』(KADOKAWA)

【Q3】女の子を描いたイラストをトレパクされました。輪郭や表情の線は重ね合わせてもまったく同じで、トレースしたのは明らかです。でも髪型や服装、背景などが変えられていて、「別のキャラクターでオリジナルだ」と言い張られています。

【A3】元のイラスト等の輪郭線をトレースして別のイラストを創作する、いわゆる「トレパク」と呼ばれるものも、それが複製権・翻案権の侵害にあたるかは、創作性のある部分について類似性が認められるかによって決まります。

たとえば、顔の輪郭の一部が重なるというだけでは、それが実際にトレースしたものであっても、創作性のある部分に類似性があるとは言えない(=著作権侵害にならない)ですし、そもそも依拠性が認められるかも難しいでしょう。

逆に、元の著作物の輪郭線と、トレパクしたイラストの輪郭線とが、あらゆる部分で一致するような場合(輪郭線をほぼすべてトレースしているような場合)には、それだけで決まるものではありませんが、依拠性・類似性が認められる可能性は高くなると言えます。

私的使用のための複製はOK

個人的または家庭内などの限られた範囲内で使用することを「私的使用」と言います。私的使用を目的とする著作物の複製は、例外的に、著作権者の許諾を得ることなく行うことが認められています。さきほど、アニメの録画は複製にあたると説明しましたが、録画が複製権侵害にならずに許されるのは、私的使用目的に限られます。

また、同じく私的使用目的であれば、翻訳、編曲、変形または翻案も可能です。

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