日本でチケット以外の転売が原則規制されていないのはなぜなのか。弁護士の小林航太さんは「ライブ会場の席数は増やすことはできないが、商品は供給量を増やすことができる。また日本には『契約自由の原則』があり、チケット以外の転売そのものを規制するのは難しい」という――。(第1回)
※本稿は、小林航太『オタク六法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
チケット不正転売禁止法 第1条(目的)
この法律は、特定興行入場券の不正転売を禁止するとともに、その防止等に関する措置等を定めることにより、興行入場券の適正な流通を確保し、もって興行の振興を通じた文化およびスポーツの振興ならびに国民の消費生活の安定に寄与するとともに、心豊かな国民生活の実現に資することを目的とする。
チケット以外の転売は違法ではない
問題視されることの多い転売ですが、一部の例外を除き、違法ではありません。転売を禁じているチケット不正転売禁止法は、映画やライブ、スポーツなどのチケット(電子チケットを含む)で、興行主の事前の同意のない転売を禁止する旨が明記されているなど、一定の要件を満たすもののみを対象としています。
物の転売に関しての規制はなく、iPhoneやゲーム、グッズなど、チケット以外の物の転売については、いまのところ法律で禁じられていません。ただし、中古品の転売ビジネスをするには古物商許可を得る必要があります。
チケット不正転売禁止法が制定されるまで、チケットの転売行為は、各都道府県の迷惑防止条例上のダフ屋行為にあたる行為のみが禁止されていました。チケット不正転売禁止法による規制は、ダフ屋行為の規制とは内容が異なっています。