2019年4月より、一定の労働者に対し、有給休暇を年5日間取得させることが義務付けられた。弁護士の小林航太さんは「年次有給休暇は理由なしにいつでも取得できるものだ。『この日は困る』などと言われても、会社側の主張をうのみにしないでほしい」という――。(第6回)
※本稿は、小林航太『オタク六法』(KADOKAWA)の一部を加筆・再編集したものです。
●労働基準法 第39条(年次有給休暇)
1 使用者は、その雇入れの日から起算して6カ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、または分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
1 使用者は、その雇入れの日から起算して6カ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、または分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
2022年のサッカーW杯では、カタールまで観戦に行ったNTT東日本社員が上司へ「Thank you For MY 2 WEEK OFF!」(2週間の休暇ありがとう!)というメッセージを掲げたことが話題になりましたね。
報道によると、この社員は有給休暇を利用したとされています。
今回は、年度末までに取得を検討している人も多いであろう有給休暇について詳しく見ていきます。
有給休暇は理由なくいつでも取得していい
年次有給休暇は、仕事を休んでも、その日分の給与が支払われる休暇のことです。
労働基準法上、使用者は、雇入れ日から6カ月継続して全労働日の8割以上の日数に出勤した労働者に対して10日間の有給休暇を付与しなければならず、その後も継続勤務年数に応じた日数分の有給休暇の付与が義務付けられています。使用者の判断によって規定以上に有給休暇を与えてもかまいません。
また、要件さえ満たしていれば、有給休暇は正社員だけではなくパートタイマーやアルバイト職員にも認められるものです。
有給休暇を取得する日は、労働者が指定できます。雇用主はその指定された日に有給休暇を与えなければならないのが原則です。
労働基準法上、有給休暇の理由は有給取得の要件とはされていませんから、有給休暇の取得にあたって理由を言う必要はなく、「私用のため」で問題ありません。また、理由によって有給休暇の取得を認めないということもできません。