【Q1】コミケに行くために有給申請した上司に理由を聞かれ、しぶしぶ答えたら、「そんなもののために休むのは認めん!」と断られました。
【A1】有給休暇の理由を言う必要はありません。また、理由を聞くこと自体は明確に違法とは言いがたいですが、執拗に理由を聞くなどすると、ハラスメントにあたる可能性もあります。「コミケのため」と言いにくいがために、「実家に帰る」と嘘をついても問題ありません。たとえば、就業規則に「労働者が有給休暇を取得する理由を告げない場合、有給休暇を取得できない」という規定があっても、労働基準法違反で無効です。
雇用主側が持つ「時季変更権」
労働者は自分で有給取得の時季を決められるのが原則ですが、一方で雇用主側にも経営上の都合があります。指定された時季に有給休暇を与えることが、事業の正常な運営を妨げる場合においては、取得する時季を変えてもらうことができることになっています。これを「時季変更権」と言います。
どうしてもその人がいなければならない理由があること、さらに代替要員の確保が困難であることが条件です。単に忙しい、人手が足りないというのは理由になりません。
時季変更権が行使された場合、取得しなおす日程は労働者側が決められます。代替要員の確保は、雇用主が行う必要があります。雇用主が代替要員の調整をまったくしていなければ、時季変更権の行使は認められません。
【Q2】すでに有給休暇を使い切ってしまっています。しかし、どうしても行きたいイベントがあります。会社には忌引のための慶弔休暇が認められているので、それを使いましたが、バレたらどうなりますか?
【A2】慶弔休暇などは、その目的のためにだけ与えられる特別な休暇です。それを虚偽の理由で取得した場合、有給休暇取得の理由として嘘の理由を述べた場合と異なり、就業規則上の懲戒処分の対象になる可能性があります。