9月にエリザベス女王が崩御し、チャールズ3世が新国王に即位した後、ロイヤルファミリーに関する報道や映画作品の公開が続いている。英国王室ウオッチャーの東野りかさんは「今後、ますます目が離せないのが、故ダイアナの再来とも言われる、ヘンリー王子の妃メーガンです」という――。
プリンス・オブ・ウェールズ、ダイアナ・スペンサー夫人の1981年7月29日の結婚式を記念した1981年オーストラリアの郵便切手
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英国王室の“台風の目”メーガンはダイアナの再来か

イギリスのエリザベス女王が崩御したのは9月8日のことだった。チャールズ3世が新国王に即位した後、英国王室に関するゴシップを含む報道が相次いでいる。そんな中、関連する映画も2作品も公開された。いずれも25年前この世を去ったダイアナ元妃を主人公にしたものだ。

作品のひとつはその生涯を綴ったドキュメンタリー『プリンセス・ダイアナ』、もうひとつは実際の悲劇を基にした寓話映画『スペンサー ダイアナの決意』である。2作品は全く違った種類であるにもかかわらず、どちらもとても苦しく、やるせない内容という共通点がある。

スクリーンからはダイアナ元妃(以下、敬称略)の苦悩がにじみ出てくるようだった。

あれほどの魅力と才能を持ちながら、なぜ彼女は36歳という若さで悲惨な最期を迎えなければいけなかったのか。鑑賞した人の多くがそう感じたに違いない。

ダイアナの悲劇の主な要因はメディアにあるとされているが、英国王室の特殊性にも原因の一端はある、との指摘も。

ペニー・ジュノー『The Firm:The Troubled Life of the House of Windsor』(St. Martin's Griffin)
ペニー・ジュノール『The Firm:The Troubled Life of the House of Windsor』(St. Martin's Griffin)

英国王室を「Firm」(ファーム=会社)と呼んだのは、エリザベス女王の夫である故フィリップ王配である。王室伝記作家のペニー・ジュノール著『The Firm:The Troubled Life of the House of Windsor』の中では、“会社”を守り続けるために、評判を落としかねないスキャンダルや危険人物を、王室は排除すると著している。

“会社”存続のために犠牲になったひとりが、ダイアナ。それはもはや定説となっているが、彼女は黙って苦悩しているだけのか弱い女ではなかった。年を重ねるにつれ、徐々に強さとしたたかさを身につけて旧弊的な王室に嵐を呼んだ。

本稿では、王室関連の著作や現地メディアの報道などから垣間見えるダイアナの波乱万丈の人生を追う。そして彼女の系譜を受け継ぐ、現在の王室の台風の目のような存在になっている義理の娘・メーガンの動静を追ってみたい。