夫の手綱を引き、メディアをうまく利用するメーガン
ハリーは子供時代も今も、常にメディアに追いかけられており、母を死に追いやったパパラッチを毛嫌いしている。その一方でメディアをうまく利用するという点では、ハリー&メーガンはダイアナの系譜を受け継ぐと言っていい。
生き馬の目を抜くアメリカのショービジネス界で鍛えられたメーガンは、相当な気の強さで夫の手綱を引き、英米両国のメディアを操作する敏腕プロデューサーのようだ。元女優のメーガンは自分たちがどう見られるかを熟知しているからだ。そんな彼女の“力量”はその言動からもうかがうことができる。
例えば……。
英国王室のメンバーは、普段は人前で手を組んだりキスしたりしないものだが、ハリー&メーガンはいつでもどこでもしっかり手つなぎ&キスがお約束。先日のエリザベス女王の葬儀でもずっと手つなぎで行動していたのはいささか違和感があるが「われわれ夫婦はうまくいっていますよ」と世界へ向けてアピールしたのかもしれない。
アメリカで絶大な人気を誇るオプラ・ウィンフリーが司会の番組に出演した際は、かなり赤裸々に王室批判をしたことで物議を醸した。彼女いわく、イギリスの慣習に慣れずに苦労し、王室のスタッフに助けを求めたが誰も助けてくれず、その絶望感から一時、自殺を考えた。また、メーガンは父が白人で母が黒人のミックスだが、長男のアーチーが生まれる際、「生まれてくる子の肌はどれぐらい濃いのだろう?」という王室メンバーから人種差別的な発言をされた、とも。さらには、王室は会社組織であり、それを守ることがメンバーの最大のミッションであり、ウィリアムもハリーも“会社”の構成員でしかない、と。
“タングステン”のメーガンは、これからが本領発揮
もちろん彼女の発言の全てを鵜呑みにはできないが、「さもありなん」と思わせる点もある。ダイアナが苦しんだ王室の環境がいまだ改善されていないことや、フィリップ王配が、冒頭の通り“会社”と呼んだような特殊な雰囲気を感じとっていたのだろう。
ハリー&メーガンの目下の悩みは、あるメディアと莫大な契約金で進めていた暴露本と王室ドキュメンタリー映像の配信計画だ。
女王の葬儀で王室メンバーと再会したことで心変わりしたのか、今や国王となったチャールズを批判するのは得策ではないと思ったのか、両方の内容を大幅に修正したいと2人は躍起になっている。しかしメディア側もそうはさせじと契約の解除をちらつかせて徹底交戦する構えだと一部報道機関が伝えている。
今後もハリー&メーガンにとって、王室やメディアとの関係は難しいかじ取りが求められそうだが、筆者はハリー&メーガンはうまくやりおおせるのではないかと見ている。ハリーはともかく、メーガンはダイアナ以上に賢くしたたかだからだ。
それは最近刊行された著名な王室ジャーナリストのケイティ・ニコール著『The New Royals』でも記されている。チャールズは、メーガンに「タングステン」というあだ名をつけた。タングステンとは、原子番号74の金属元素の一つで、ダイヤモンドに次ぐ強さとしなやかさが特徴。メーガンのタフさをいみじくも表しているではないか。
このようにダイアナの再来のような異端児・メーガンから目を離せないし、彼女への取材攻勢も一層の熱を帯びるだろう。ただし、25年前の悲劇だけは、二度と繰り返してはならない。