イーロン・マスク氏の資産は27兆円
機関投資家が運用している資産の規模は、個人投資家とは桁外れだ。まず個人投資家の状況からみていこう。フォーブス世界長者番付2022で、1位となったのはテスラやスペースXを創業したイーロン・マスク氏だ(*2)。
資産額は推定2190億ドル(約27兆円)。そのうちの大半は自身が創業した企業の株式なので、全てが自分の銀行口座に入っているわけではない。
第2位はアマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏で、資産額は推定1710億ドル(約21兆300億円)。こちらもほとんどが自身が創業した企業の株式なので、アマゾンの株価が変動すれば、自身の資産額も大きく変動する。
フォーブス世界長者番付2022で上位30人の資産額の合計は312兆円。これはこれで巨額だ。
個人投資家とは運用規模が桁違い
それに対し、世界最大の年金基金は、日本の政府系年金基金「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」で、運用資産額は2022年6月末時点で194兆7251億円。2001年度からの累積運用収益額は101兆6787億円なので、大幅に投資リターンをあげていることがわかる。そして世界の年金基金全体の運用資産額の合計は推定53兆ドル(約7160兆円)(*3)。
保険会社で世界最大は、フランスのアクサ。2022年6月末時点の運用資産額は8440億ユーロ(約117兆円)。第2位はドイツのアリアンツ。そして世界の保険会社全体の運用資産額の合計は推定38兆ドル(約5184兆円)(*4)。
運用会社で世界最大は、アメリカのブラックロック。2022年6月末時点の運用資産額は9.5兆ドル(約1290兆円)。そして世界の運用会社全体の運用資産額の合計は推定111兆ドル(約1京5000兆円)(*5)。兆を超えて京の位に入ってしまう。
ちなみに個人投資家全体の保有資産はどういう状況かというと、100万ドル(約1.3億円)以上の金融資産(預貯金含む)を持つ富裕層が全体で93兆ドル(約1京2550兆円)。また、金融資産が10〜100万ドル(約1300万円〜1.3億円)のミドル層全体で84兆ドル(約1京1340兆円)となる(*6)。
こうしてみると、イーロン・マスク氏の27兆円は、少なくはない金額だが、全体からみるとかなり小さな割合だということがわかる。
(*2)Forbes (2022)“Forbes Billionaires List 2022”
(*3~6)PwC (2017)“Asset & Wealth Management Revolution: Embracing Exponential Change”