なぜ日本の政治家はバラマキを止められないのか。モルガン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)元日本代表の藤巻健史さんは「日本円が暴落しても国にはダメージがない。国民にとって地獄でも、ハイパーインフレは究極の財政再建になるからだ」という――。
※本稿は、藤巻健史『Xデイ到来 資産はこう守れ!』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
ハイパーインフレの「Xデイ」が到来する条件
「日銀が倒産する」と本書『Xデイ到来 資産はこう守れ!』で何度も述べていますが、日銀は紙幣を刷れるので、資金繰り倒産はしません。しかし、債務超過で日銀の信用が失われれば、その通貨の信用も失墜し、ハイパーインフレが起きてしまいます。
前述したように雨宮副総裁が日本金融学会2018年度秋季大会(2018年10月20日)で、「(マネーの信用は)ソブリン通貨の場合は、中央銀行の独立性を担保する制度的枠組みや、信頼に足る業務や政策のトラックレコードなどが必要となります。もちろん、中央銀行への信用が一たび失われれば、ソブリン通貨といえども受け入れられなくなることは、ハイパーインフレの事例が示す通りです」と述べています。
そのハイパーインフレを抑えるためには日銀を廃し、新中央銀行を作らざるを得なくなるだろうと思っています。それを「倒産」という言葉を使っているのですが、正確には「廃せざるを得ない」ということです。
もちろん中央銀行は社会にとって必要不可欠なインフラですから、新しい中央銀行は早急に作らねばなりません。しかし日銀は廃せざるを得ない。その場合は、日銀の負債である現在の円は無価値になり、新中央銀行の負債である新しい通貨が法定通貨になるということなのです。
日本株、円、日本国債すべてが売られる…
日銀が債務超過になったら政府が資本投入をし、債務超過を解消すればよいではないかと簡単に言う人がいますが、政府は現在大幅赤字です。したがって、資本投入する原資がありません。