仕事のアイデアに詰まったとき、どうすればいいか。コピーライターの小竹海広さんは「とりあえずネットを検索する、というのはやめたほうがいい。アイデアを出す方法『アイディエーション』の知識があれば、そうしたムダは避けられる」という――。

※本稿は、小竹海広『言葉のアップデート術』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

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ディスカッションに勝っても「論破」に生産性はない

「論破」するにはコツがあります。

自信満々の態度で、相手の欠点を探し、矛盾を見つけ、定義を求め、イエスorノーの質問を繰り返し、不利になれば話をすり替え、人格攻撃をするといったテクニックを駆使すれば、「論破」した空気を作ることができます。

しかし実際には、次第に相手がうんざりして会話をあきらめているだけのケースも多々あります。論破から生まれるものは何でしょうか。

例えば『ドラゴンボール』と『アベンジャーズ』について、どちらのほうが面白いかを完璧なロジックで説明できるαさんがいたとします。一方、過去の名作たちの良い点も悪い点も知りながら、新しい作品の「アイデア」を考えられるβさんもいます。

ちなみにβさんはαさんを論破できません。このとき、生産性が高いのはαさんでしょうか。βさんでしょうか。答えは明らかにβさんのはずです。

言いかえれば、「プランAか」「プランBか」のディスカッションに勝つ能力ではなく、両方を乗り越える「プランC」のアイデアを出す能力のほうが重宝されるということです。

「アイデアを発想する方法論」は学校で習わない

いいアイデアが出ないとき、場の空気が悪くなるケースは少なくありません。そんなときに必要なのは、論破ではなく、突破できるアイデアです。

会議室だけでなく、普段の生活やインターネット空間も同様です。その結果、批判の応酬になり不毛なディスカッションで消耗してしまうのです。

本稿では、アイデアを思いつく方法論を紹介します。

アイディエーションとは、その名から連想できるように「アイデアを発想すること」ですが、教育現場で体系的に習うような機会はそう多くありません。

アイディエーションに関する本は多く、流派も色々とあり、本稿で語り尽くすことは到底できませんが、「これだけは絶対に重要」と確信する方法論を厳選してみました。

それでは一つひとつ見ていきましょう。