アイディエーションを一夜漬けでやるのは無謀

⑨ 「アイデアは一夜漬けで考える」→「アイデアは90分単位で断続的に考える」

人間の集中力は90分程度しか持たないと言われています。

大学の授業時間は90分が基本です。いくら面白い映画でも、180分あると集中が途切れる瞬間があるでしょう。

このように見ていくと、脳への負荷が高いアイディエーションを一夜漬けでやるのは非効率的です。考える時間は、なるべく分散させるようにしましょう。

私の場合、個人でアイディエーションする時間は、「午前中に90分+午後に90分+翌日に90分」を1セットとしています。時間を空けると集中力が続きますし、アイデアの良し悪しやダブりなども、冷静に判断できるのでおすすめです。

「何が正しい」より「何が面白いか」のほうが楽しい

以上、アイディエーションの基本的な方法論について紹介しました。発想法について書きたかったのは、会議室や日常生活においてアイデアさえ決まれば、場の空気が安定する場面は少なくないからです。

小竹海広『言葉のアップデート術』(クロスメディア・パブリッシング)
小竹海広『言葉のアップデート術』(クロスメディア・パブリッシング)

「ディスカッションで、どちらが勝つか」というゼロサムゲームから抜け出し、「アイディエーションで、どんなアイデアが出せるか」という発想のゲームをしたほうが、幸せの総量は大きくなるのです。

会議室でも、SNSでも、「誰が正しいか」「何が間違っているか」に話が終始してしまうのはもったいないことです。

もっとみんなが自由に発言しあい、「どんなアイデアが面白い(interesting)か」「どうすればアイデアを実現できるか」を話しあったほうが、何より楽しいはずです。

パーソナルコンピュータの父とも言われるアラン・ケイ氏は、「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」という言葉を残しています。

どういう未来を描くべきかとディスカッションしたり、誰が一番正しいのかというマウンティングで消耗したりするだけでは、未来を発明できません。

アイディエーションをして、自分の手を動かし続け、時には失敗し、でも立ち直り、また開発する。そんな泥臭いプロセスを繰り返すことで、地道に未来を発明していければ、きっと明るい未来を切り拓いていけると、私は心の底から信じています。

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