チームの生産性を高めるには、どうすればいいか。プロコーチの原田将嗣さんは「『心理的安全性』を確保することが重要だ。たとえば上司の立場から『大変だけど頑張ろう』と発言するべきではない。それは安全性を脅かしてしまう」という――。
※本稿は、原田将嗣『最高のチームはみんな使っている 心理的安全性をつくる言葉55』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
「提案しなきゃよかった」を生み出す上司の声がけ
× じゃあ○○さん、担当よろしく
↓
○ どう分担していこうか
↓
○ どう分担していこうか
改善の提案があったとき、あなたのチームはどんな反応をしていますか?
NG例
A「今までにお客さまに提案したプレゼン資料を、キーワードやポイントで検索できるようになったら、プレゼン資料をつくるときに便利になると思うのですが……」
B「たしかにいいね。じゃあ○○さん、よろしく頼むよ」
A「はい……(ただでさえ忙しいのに、余計な仕事を増やしてしまった……)」
A「今までにお客さまに提案したプレゼン資料を、キーワードやポイントで検索できるようになったら、プレゼン資料をつくるときに便利になると思うのですが……」
B「たしかにいいね。じゃあ○○さん、よろしく頼むよ」
A「はい……(ただでさえ忙しいのに、余計な仕事を増やしてしまった……)」
発案者がその業務を担当し、遂行する。職場でよく見られる、ごく当たり前の風景ですが、これが続くと段々とチームの中で改善案・アイデアが出なくなってしまいます。
一体、なぜでしょう? ここでは行動分析学が参考になります。
行動分析学では、行動の直後に「Happyなみかえり」があればその行動が増え、「Unhappyなみかえり=罰」があれば、行動のリピートが減ると考えます。この場面では「改善の提案をする」という行動に対して「褒められもせず、他の仕事の調整もなく、ただ自分の仕事が増える」という「Unhappyなみかえり=罰」が与えられています。いわば「言ったもん負け」の状態です。
「ハッピーなみかえり」を生む声のかけ方
そうすると、改善アイデアが思い浮かんでも「また仕事が増えるだけだ……やめておこう」と、提案という行動がリピートされなくなってしまいます。挙げ句、挑戦・改善などしない、現状維持を最優先する組織に。
そうではなく、メンバーのちょっとした気づきや閃き、アイデアが活発に共有され、その中から筋の良いアイデアが実際に実行に移され、実現するようなチャレンジに満ちた職場、つまり「チャレンジフルなチーム」を目指しましょう。
OK例
A「今までにお客さまに提案したプレゼン資料を、キーワードやポイントで検索できるようになったら、プレゼン資料をつくるときに便利になると思うのですが……」
B「ナイスアイデア! どう分担していこうか」
A「はい! 今度の定例でみんなに共有してみます」
A「今までにお客さまに提案したプレゼン資料を、キーワードやポイントで検索できるようになったら、プレゼン資料をつくるときに便利になると思うのですが……」
B「ナイスアイデア! どう分担していこうか」
A「はい! 今度の定例でみんなに共有してみます」