“心理的安全性”の高い組織をつくるにはどうしたらいいのか。ZENTechシニアコンサルタントの原田将嗣さんは「日頃つかう言葉を変えるだけでいい。大胆な改革もコストをかけた投資も不要だ」という――。

※本稿は、原田将嗣『最高のチームはみんな使っている 心理的安全性をつくる言葉55』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

オフィスで働くアジアのビジネスウーマン
写真=iStock.com/itakayuki
※写真はイメージです

「いろいろありがとう」は抽象的すぎる

メンバーに助けてもらったら、「お礼のフレーズを伝えれば十分」――そう思ってはいませんか。

ありがとうには「理由を具体的に言い添える」と効果的です。

注意したいのが「いろいろありがとう」「もろもろお世話になっています」と、理由をひとまとめにした抽象的な「なんとなくのありがとう」です。

もちろん無反応よりはいいですが、せっかくお礼を言われるのなら、抽象より具体の「ありがとう」が嬉しいですよね。何より「理由つき」でお礼を伝えられた人は、次回も「より理想的な行動」をとりやすくなるんです。具体例で見てみましょう。

「この間の○○の議事録、参加できなかった僕にも、箇条書きがわかりやすくて助かった。うまくまとめてくれて、ありがとう!」

こんな風に感謝を伝えてもらったメンバーは、例えば次に議事録をつくるタイミングで、「今回も箇条書きでまとめてみようかな」と思うのはもちろん、もっと読み手にとってわかりやすいまとめ方を模索するかもしれません。

メンバーの成長につながるフレーズ

この「理由つきの、ありがとう」の大切さについては、企業研修でもよくお話ししています。

人は、自分が行動した直後に、理由をつけて具体的に感謝を伝えられると、「毎日使いたい! されたことを再びやろう」「もっと上手にやろう!」と感じます。

「この行動をとればいいんだ!」という「アンテナが立つ」と表現してもいいかもしれません。アンテナが立つと、あなたが感謝を伝えた行動を、次回もやってもらえる可能性が、それも、より高い質・精度を目指してやってもらえる可能性が上がります。つまり、理由つきの感謝はメンバーの成長に貢献するのです。メンバーが成長すれば、チーム全体のパフォーマンスも、おのずと向上していきます。

私自身もメンバーには「時間のない中でお客さまに電話して、うまく調整してくれてありがとう」とか「カレンダーを確認して候補日を挙げてくれてありがとう。助かったよ」など、対面、電話、メール、チャットツールで、いつも具体的に理由をつけて感謝を伝えるようにしています。