チームの生産性を高めるには、どうすればいいか。プロコーチの原田将嗣さんは「『心理的安全性』を確保することが重要だ。安全性が確保されているチームでは、『あいさつ』の言葉遣いにも違いがある」という――。

※本稿は、原田将嗣『最高のチームはみんな使っている 心理的安全性をつくる言葉55』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

「5個以上で黄色信号」職場あるある10項目

突然ですが、チェックです!

あなたの職場で、次のような言葉が使われてはいませんか?

1.相談されたら本人のことを思い「まずは自分で考えて!」と言っている
2.新しいアイデアが出てきたら、考えてくれた人にやってもらうのが一番なので「じゃあ、担当としてやっておいてね」と任せるようにしている
3.一度教えたことをまた聞かれたら「前にも言ったよね」と厳しく指導している
4.注意するとき「こんなこと言いたくないんだけど」と言うようにしている
5.自分の担当する仕事でトラブルがあっても、周りには迷惑をかけないよう「大丈夫です」と言い、まずは自分でなんとかできないかを考える
6.できなかったことに対して原因を究明し、理由を明確にするために「なんでできなかったの?」と聞くようにしている
7.チームで失敗が明らかになると、まず「誰の責任?」と責任の所在を明確にしている
8.後輩や部下から仕事の目的や、やる理由について質問されたら、チームワークを乱さないためにも「仕事なんだからそんなこと考えないでやるんだよ」と伝えている
9.新しく入ったメンバーには、まずは「会社のルールはこれだ」と、マニュアルや規程類をしっかり覚えるよう伝えている
10.途中から参加したプロジェクトの会議で上司に「何か意見ある?」と聞かれたが、まとはずれになってはいけないので「特にありません」「いいと思います」と答えた

実はこれら、日常的に使っていると心理的安全性を下げる言葉たちです。普段無意識に使っていたり、そんなつもりはなく使っていたりする言葉が、心理的安全性を下げているかもしれません。

5個以上該当する場合は黄色信号。本稿でお伝えする言葉に言い換えていきましょう!

ただの「仲良し集団」を指す言葉ではない

心理的安全性という言葉が登場したのは、半世紀以上も前の1965年のこと。もとは組織に使われる言葉でした。その後、現在ハーバード大学の教授を務めるエドモンドソンがチームに応用し「対人関係のリスクをとっても大丈夫だ、というチームメンバーに共有される信念のこと」と定義しています。さらに、米グーグル社が「プロジェクト・アリストテレス」の中で再発見。チームにとって「圧倒的に重要」と結論づけ、注目を集めました。

心理的安全性が確保されていると、ミスの報告のように話しにくいことでも素早く情報共有ができたり、新しいことへの挑戦が増えたり、働くことで満足感や充足感に満たされるようになります。すると個々人の仕事の質は上がり、チームとしての学習が促進され、結果的にチーム全体の成果も向上していく、というわけです。

この、成果や生産性につながるという心理的安全性。よく「仲が良いってこと?」と捉えられがちですが、その本当のところはどうなのでしょうか? もちろん、仲が悪いことが生産性に悪影響を及ぼすことは明らかでしょう。けれども、心理的安全性は、単にチームメンバーの仲が良いということでもありません。仲が良すぎる状態で、現状の人間関係を維持することが優先され、言うべきことが言えない場合も成果は上がりません。

心理的安全性が高いチームとは、仲が「悪すぎる」でも「良すぎる」でもなく、目指すゴールや成果のために「健全な意見の衝突」が起こせるチームです。