発案者任せにしない“私たち視点”という考え方

ひとりが発信したアイデアや提案に対しては「発信した個人の課題・タスク」ではなく、「みんなの課題」「チームの課題」に変えることが重要です。この視点の転換を「私たち視点を持つ」と呼びます。

次の問いを考えてみてください。あなたがメンバーの立場で、新しいアイデアや企画を発案。「こうしたらいいと思います!」と言ったら、どうなるでしょうか?

もし、この問いへの答えが「いろんな角度からアイデアをもらえたり、みんなで検討できたり、分担して形にできそう!」「アイデアを言ってよかった! また言おう!」と感じられるものであれば大丈夫。「私たち視点」が持てています。

この「私たち」には、ふたつの大切なポイントがあります。ひとつは、みんなで意見を出し合ったり、分担して遂行したりと自分事ならぬ「自分たち事・チーム事」としてアイデアを形にする点です。もうひとつ見過ごされがちなのが「発案や挑戦にHappyなみかえりを提示するのは、周囲の私たちの仕事」という点です。リーダーだけではない、周りの私たちの一つひとつの反応が、チームが挑戦する雰囲気の鍵を握っているのです。

業務が増えてもチームを疲弊させない方法

× 大変だけど頑張ろう

○ やめたほうがいい仕事ってなんだろう

こと業務改善がテーマとなると、「これをしたほうがいい」「あれもするべき」と業務が増える方向に話が展開していくことが多いと思います。現状の業務はそのままで、そこに追加する形で手間が増え、チーム全体の仕事量が増え忙しくなったものの、目覚ましい結果にはつながらず、最後は全員が疲弊……。あなたにもそんな経験はありませんか。

何かを変えない限り、チームのリソースが自然と増えることはありませんよね。メンバー各自の能力、モチベーション、時間、予算……これらが限られている以上、業務を増やすなら、今ある業務を減らすことも併せて考える。それが、ほんらい理に適った考え方だと思います。

しかし、メンバーからやめたほうがいいことを指摘するのは難しいもの。「これはもう、やめるべきでは?」と発言したら、周囲から「やる気がない」と曲解されてしまうかもしれません。やめたときのリスクやハレーションも読み切れません。何より、そのメンバーは今日まで「やめたほうがいいこと」に取り組んできたのです。「これまで、自身や仲間が無駄なことをしていた」と思いたい人などいないでしょう。