8月初旬、ペロシ米下院議長の台湾訪問にあわせて、台湾各地で「サイバー攻撃」の報告が相次いだ。情報安全保障研究所首席研究員の山崎文明さんは「台湾国内にある複数のセブン‐イレブンでデジタルサイネージがハッキングされた。中国共産党は電気や水道など重要インフラへのハッキングも準備している恐れがある。日本は中国製ネット機器の排除を急ぐべきだ」という――。
デジタルサイネージに「鬼ばばあ」
米議会下院議長ナンシー・ペロシ氏と、台湾の蔡英文総統との会談が予定されていた8月3日の朝、高雄新左営駅の大型デジタルサイネージ(電子看板)に、簡体字で「老妖婆が台湾を訪れる」の文字が表示された。
「老妖婆」とは、残酷で無慈悲な老婆、すなわち「鬼ばばあ」を指す言葉で、ペロシ氏が好戦的人物であることを意味したものだ。
これは中国系ハッカーが大型スクリーンを乗っ取り、台湾の一般市民に対して警告を発したものである。
同様の乗っ取りは、南投県珠山郷役所の大型看板やセブン‐イレブンの店内モニターに対しても行われ、「戦争屋ペロシ、台湾から出て行け」などと表示された。
朝の混在する時間帯で、多くの人がセブン‐イレブンで朝食やコーヒーを買っていた。
突然店内の照明が切れ、真っ暗になった中に、電光掲示板に浮かび上がったメッセージを見て、恐怖心を覚えた人も多かったようだ。
その場に居合わせた女性は、「大統領府のウェブサイトがハッキングされたと聞いても、何も感じませんが、近くの画面にこの血まみれのテキストが表示されると、ショックを受けます」とオーストラリア国営放送のインタビューに答えている。