ヨガができないヨガスタジオ店長
二人の子どもを連れて、離婚に踏み切ったのは46歳の時。ヨガスタジオの店長として働いていた西崎さんは、たまたま目にしたフリーペーパーで「起業塾」を知った。どこかうさんくさいと思いながらも気になってならず、一度はゴミ箱へ捨てたもののまた拾いあげた。「やっぱり気になるから行ってみよう!」と思い、さっそく説明会へ――。
「自分を売り込むためにいちばん大事なことは何か。まずは自分の生き方をきちっと見直さないと、人にモノは売れないのだと教えられ、なるほどと腑に落ちたのです」
専業主婦歴20年、ヨガスタジオの仕事もヨガができるから入ったわけでもなかった。それでも受付で接客するのは好きで、主婦の悩みや子育てなどの相談に乗るのは得意だった。自分にできることは「コーチング」かもしれないと考え、職場の人に相談すると、心配して「コーチングなんかで子どもを育てられるわけないじゃないか」とたちまち反対された。
覚悟を決めるために買った赤い日産ジューク
その後、スタッフと話していたとき、西崎さんは「私、本当にここで人生一新したいんだよね」とふと漏らした。なぜかそこで頭に浮かんだのが、家に残っていた元夫の車。
「あの車が嫌いだからどうにかしたいと思い、お金が貯まったら買い替えるつもりでした。だけど先に車を買ったら起業もがんばるしかないから、覚悟を決めるために『買いに行こう!』と。その足で日産のショールームへ行ったんですよね。今思えば、バカだなあと……(笑)」
日産の赤い「ジューク」が欲しくて、ずっとネットで中古車などを見ていた。平日の昼間、誰もいない販売店を訪れると、店員が丁寧に応対してくれる。希望の車種を伝えて探してもらうと10分後に「ありました」と言われ、「これ買います!」と即決。店長に金額も掛け合ってくれた。さすがにシングルマザーなのでローンにした方が良いのではと勧められ、その場で新車を手に入れたのだ。