六角 精児

1962年、兵庫県生まれ。学習院大学中退。厚木高校時代、演劇部に所属。その後、横内謙介らと「善人会議」(現・劇団扉座)を旗揚げ。舞台からテレビドラマ、映画へと活動の場を広げる。テレビ朝日「相棒」シリーズの鑑識・米沢守役では、初の映画主演を務めた。鉄道ファンとしても有名で、スカパー!で鉄道プロデューサーを任命される。現在、「相棒」のほか、NHK連続テレビ小説「カーネーション」、映画「ウタヒメ」などに出演中。今後の活動は、3月23日に下北沢440で行われる大槻ケンヂ弾き語りライブ「FOK46」に、得意なギターと歌でゲスト出演するほか、5月と8月に舞台公演を予定している。※雑誌掲載当時


 

いやー、珍味が好きでしてね。サキイカなんか大好物ですよ。お酒がなくても食べてるくらいで。昔、釧路で大袋に入ったホタテの貝柱の干したやつを見つけましてね。ひと抱えもありそうな大きさで、おお!と思って、欲しかったけれど、2万円もしていたので、とても買えませんでした。お金のない頃でしたから。40歳を過ぎてからですよ。人並みの財布の中身になったのは。

だけど、この前、アメ横でホタテの貝柱の大袋を見つけたんです。ついに、ここで出合えたかと。7000円でしたけど、喜んで買って帰って、いま食べてます。ご飯の後、一個ずつ食べる。買えるようになったけれど、今度はコレステロールを気にしなくちゃならなくなってますからね。だから、薬を飲むように、ホタテの貝柱を毎日一個食べる。

30代の頃、よほどひどい食生活をしていたんでしょうね。そのツケが今きている感じで。だいたい僕は、コロッケとかハンバーグ、スパゲッティにカレーと、子供が好きそうな食べ物が好きなんですよ。

体にはよくないんでしょうが、飲んだ後の夜中のラーメンなんて、最高にうまい。今でも、朝起きると枕もとに空のカップラーメンが転がっていたりして、「きっと、昨日食っちゃったんだろうな」と……。

もう25年以上も、下北沢界隈に住んでいます。演劇が盛んだし、ジャズ喫茶やロックバーなんかもたくさんあって、音楽好きの役者にはうれしい街です。それに下北沢は不思議なところで、24時間お酒が飲めるようにできている。

普通の街だと、夜更けに飲み屋が閉まり始めて、明け方あたりに空白が生まれるんだけれど、ここは大丈夫。いよいよとなっても、24時間営業の牛丼チェーンがあるし。最近も、朝方に牛丼屋のカウンターでビール瓶を並べている姿を、知り合いに目撃されてしまいました。

そんな僕ですが、下北沢でうまいものを食べたくなると来るのが「千真野」。6年前の開店当時から通ってます。おいしい和食をアテに、焼酎の緑茶割りをやるのが最高です。

もう一軒の、大阪の「グリル梵」は、僕が大阪で舞台をやったときに、「とてもおもしろかったので」とビフカツサンドを差し入れしていただいて以来のおつきあいです。そんな形でもてなしていただくのは初めてで、すごくありがたかった。8、9年前のことで、当時、自分がそんなことをしてもらえる役者とは思ってませんでしたから。あっ、今でも思っていませんが。

これからも僕らしく、脇役というかサブの役だけれども、主役をよく見せることで、自分が映えたり、必要とされる役者でありたいと願ってますね。