清水ミチコ

岐阜県生まれ。文教女子短大卒。1983年、ラジオ番組の構成作家としてデビュー。86年、ライブに出演し、タレントの道へ。クリティカルでありながら愛のあるモノマネ、顔マネ、ピアノを使った音楽コントで知られる。特に矢野顕子さん、黒柳徹子さんのモノマネは本人も太鼓判の絶品。『私の10年日記』『ニセ夫婦漫才』(高田文夫さんとの共著)など著書多数。DVD『LIVE!清水ミチコのお楽しみ会~バッタもん~』も好評。3月末には、ベストアルバム『清水ミチコ物語』を発売予定。


 

子どもの頃、衝撃を受けた料理がありました。「ゆであげスパゲティ」です。喫茶店を経営していた父が新しいもの好きで外食も多かったのですが、その父が「おいしくて感動した」と、当時まだ珍しかったスパゲティ専門店「壁の穴」に連れていってくれたんです。それまでは、ゆでおきの麺を炒めて出すナポリタンやミートソースしか知りませんでしたから「これもスパゲティ? おいしい!」と私も大感動。カルチャーショックでした。「暮しの手帖」の愛読者だった母は毎日、丁寧に食事を作ってくれましたし、私が食べることや料理が好きになったのは知らずに受けていた両親の食育のおかげかもしれませんね。ちなみに父は、後に「壁の穴」のチェーン店を経営したんですよ。

若い頃は外食を楽しんでいましたが、いまは自分で料理して食べるのが好きです。忙しい日々でも、だし用の昆布を水につけたりしているとリラックスできるし、夫や子どもにも美味しくて体にやさしい手料理を食べさせたい。外食はカロリー過多になりがちですから、せめて家ではマクロビオティック(玄米菜食)に近い低カロリー料理を、ストイックになりすぎない程度に作っています。ロケ弁が多い女性芸人がわが家に遊びに来るときは「うちでマズイご飯、食べなさい」と言って(笑)、野菜中心の料理を出しています。

とはいえ、やっぱり外食はわくわくするお楽しみ。そんなわが家の外食の定番が「sunaga」。「今日はsunagaに行くよー」と言うと子どもが「わーい」と大喜びします(笑)。開店したとき、想像以上に美味しい料理と、融通を利かせてくれるファジーな対応に「いい店が近所にできた!」とうれしくなりました。オーナーシェフのあったかい接客が心地よく、メンチカツ1個でもシェアできるように取り皿を人数分くれるんですよ。もうひとつの魅力はコストパフォーマンスの高さ。フレンチできっちり修業したシェフが丁寧に作っているので味は保証付きですが、リーズナブルなんです。肩肘はらない店で美味しいものを食べたい私にぴったり。親しみやすいメニューで誰を連れてきても喜ばれるし、広い個室もあるので女性芸人仲間とわいわい集まることもあります。本当に使い勝手のいい店です。

ドレスコードがあるような店は苦手ですが、時には少し背筋をピッと伸ばして食事をしたいこともあります。そんなときにうってつけなのが「七草」。研ぎ澄まされた感性で、野菜と乾物を使った滋味深い味わいの和食を出してくれます。料理はおまかせコースのみ。その季節ならではの旬の味を繊細な料理で味わえて、毎回、大満足しています。器や空間も素敵なので、こちらは女性同士の食事会にお勧めしたいですね。