無計画な基地建設…米メディアが報じたロシア軍の物資不足
ロシア軍の基地で洗濯機がまるで足りず、民間人が自宅の洗濯機を使って戦闘服の洗濯を手伝う事態となっている。ロシア東部、ウクライナ国境まで30キロの地点に位置するヴァルイキの町では、ロシア軍の基地がウクライナ侵攻後に急遽建設された。ところが設備不足が甚だしく、軍服を洗うこともままならないという。ロイターが報じた。
記事は近隣住民のリューボフ・ザスハルスカヤ氏の証言をもとに、「基地の洗濯設備では追いつかない」と報じている。ザスハルスカヤ氏は、補給のためウクライナから戻った兵士たちから汚れた衣類を渡され、自宅の洗濯機で洗って兵士たちに返しているのだという。戦闘服だけでなく、兵士が仲間の葬儀に参列できるようにと、制服にアイロンをかけたこともあるという。
この事態は、無計画な基地の建設によって引き起こされた。ロシアが東部地方へ戦力を集中するにつれ、ヴァルイキの町は派遣部隊らの重要な集結地点となっている。4月中旬、ロシア軍がウクライナ北部から撤退すると、多くの要員がトウモロコシ畑の広がるこの長閑な町になだれ込んだ。5月ごろにまでには野戦病院と小さな基地が建設され、いまでは装甲トラックの車列が絶えない。
こうしてロシア軍はこの町を兵站上の重要な拠点として扱うようになったが、基地内では汚れた戦闘服のクリーニングすら完結できない有様となっている。
「基地内では装備品の奪い合いが起きている」
同記事によると、装備品不足に喘ぐロシア軍拠点の例に漏れず、この基地でも無線機から小型ドローンまであらゆる物資が間に合っていない。兵士の知人や現地の民間人からの提供に頼っている状態だという。この基地ではとくにドローンと暗視スコープの在庫不足が深刻であり、基地内では取り合いの状況となっている。ロイターは、「ロシア軍基地が軍需品の争奪戦に見舞われている」と報じた。