あるロシア兵は物資不足により、移動に必要な車両の補修もままならないと苛立つ。ロイターは、ラファエル・アリエフと名乗るロシア兵站部隊の男性による証言をもとに、スペアパーツの到着までに1カ月を要することもあると伝えている。
この兵士はヴァルイキの公開されたウェブサイトに5月末、「しかし、ロシア連邦の国防省は腹の立つことに、スペアパーツをもっていない」と書き込んだ。榴弾砲で損傷した車両を補修したいが、必要な部品が手に入らず手の打ちようがない、と兵士はこぼす。
ロシア軍のほかの拠点でも事情は似通っている。記事は、ボランティアでロシア軍を支援している地元の民間人の証言として、「食糧、ディーゼル燃料、どこか身体を洗えて衣類の洗濯ができる場所」を兵士たちが求めていると報じた。
クラウドファンディングでロシア国民から物資調達も
基地周辺に住む住民の支援だけでは足りないと踏んだロシア軍は、クラウドファンディングを通じた資金調達および装備品の現物募集に乗り出した。しかし、ロシア部隊が発表した調達内容に対し、軍事ニュースサイトの米『ソフリプ』は、「地元のホームセンター、ショッピング・モール、あるいはネット通販で買えるような機材」だとして当惑している。
同サイトは戦闘機の前に誇らしげに並べられた調達品の写真を報じつつも、その内容にあきれ顔だ。「我々は最近、ロシアが飛行部隊向けにクラウドファンディングで新たに調達した物資を確認した。そしてその内容は、みなさんの想像どおり酷い有様であった」
寄贈品の多くは、レンチやドライバー、電動工具といった、「土曜の午後に車の手入れをするのに使うような各種ツール」であり、大国の空挺部隊が誇る装備品の類いとは程遠い。目ぼしい寄贈品としては中国製のフォークリフト2台があるが、部隊はこれでミサイルを吊るして移動させようとしており、「極めて危険」な行為だと記事は指摘している。およそ無用とも思える寄付品もあり、複数の草刈機が軍に寄せられている。同誌はつぶやく。「なぜ(派兵先の)ウクライナで彼らに草刈機が必要なのか、我々にはよくわからない」
軍用ブーツさえなく、兵士はランニングシューズを履いている…
中古物資も多く集まった。英デイリー・メール紙は、中古のラジオや懐中電灯、パイロット用のヘルメットなどが寄せられたと報じている。部隊は寄贈の成果報告のため、メッセージ・アプリ「Telegram」のチャンネルに複数の写真を投稿している。うち一枚は、年季の入ったスホーイSu-25戦闘機を背に集合した兵士たちだ。誇らしげな兵士たちとは裏腹に、同紙は目ざとく、「パイロットのひとりは標準装備の軍用ブーツさえなく、ランニング・シューズを履いている」と指摘している。