浮気調査を行う探偵は、どうやって決定的証拠をつかんでいるのか。探偵のアルバイトに応募し、実際に働いた『裏モノJAPAN』編集部の野村竜二さんがリポートする――。

※本稿は、野村竜二『潜入ルポ 経験学歴不問の職場で働いてみた』(鉄人社)の一部を再編集したものです。

未経験者でもできる「探偵のアルバイト」に潜入

何か珍しい仕事はないものかと、求人サイトを転々としていたら、ジモティー内のアルバイトの項目で左記のような求人を発見した。

『テレビでよく見る探偵。1度は憧れた方も多いのではないでしょうか?』

なんと探偵のアルバイトを募集していたのだ。トレンチコートにハットを被って調査をする、あの探偵である。

ジモティーでの探偵募集はけっこう多い(写真=「ジモティー」公式サイトより)
ジモティーでの探偵募集はけっこう多い(写真=「ジモティー」公式サイトより)

やっぱりアンパンと牛乳をほおばりながら張り込んだりするのだろうか。楽しそうだぞ。

さっそく記載された番号に電話をかけてみると、野太い声の男性が出た。

「もしもし、アルバイトの募集を見て電話したのですが……」
「はいはい。えーっと、キミは体力に自信ある?」

いきなり、ぶっきらぼうな質問をされた。なんか感じ悪いなあ。

「はい。それなりに」
「そっか、徹夜とか平気な人?」
「はい。大丈夫ですよ」
「了解。それなら来週の月曜の15時に事務所に来てくれる?」

特に持ち物もいらないようで、履歴書も必要ないとのこと。いきなり面接まで進めるあたり体力さえあれば誰でもいいようだ。

「この仕事っていつ終わるかわからないから」

翌週の面接当日。新宿駅西口の雑居ビルを訪れた。他のテナントも日焼けサロンやら消費者金融やらといったいかがわしいものばかり。いかにも探偵の事務所がありそうだ。4階の探偵事務所のドアをノックして開ける。やっぱり、面接を受けるのは何度やっても緊張するなあ。

「失礼しまーす」

部屋の中は小ざっぱりとしていて清潔感がある。探偵の事務所といえば小汚いイメージがあったが、白を基調とした健全な内装。ちょっと拍子抜けだ。

「はい。どちら様ですかー?」

奥から日に焼けたスーツ姿のイカツイ男性が現れた。首には金のネックレスをつけていて、ヤクザみたいな風貌だ。こわ。

「あ、野村君だっけ? 待ってたよ。じゃあ、そこに座ってくれるかな?」

黒い革張りのソファに向かい合わせで座る。壁の棚には『探偵業届出証明書』と書かれた紙が置いてあるので、一応ちゃんとした会社であることは間違いないようだ。

「ども、ここの所長です。よろしくね。まず、シフトはどれくらい入れるのかな?」
「はい。いつでも大丈夫です」
「それは助かるよ。この仕事って、終わるまでどれくらい時間がかかるかわからないからさ」

ん? どういう意味だ?

「日によって働いてもらう時間が変わってくるから、余裕がある人の方がありがたいんだよ」

そんなに大変なのかよ。