日常の面倒な人間関係やしきたりから自由になれる
ちょっと世知辛い話になるけど、自分の考えだけで決められることって、あまりないな、と思うんですよね。
仕事にしたって、ときには上司や取引先の無理難題を聞かなくてはならないじゃないですか。芸能界ですら、理不尽なことに付き合わなければならないことが多々ありますよ。
加えて、謎のルールに縛られることも多いはずです。たとえば、飲み会やタクシーで座る席では、上下関係を重んじた配置をしなければならないし、「最初の一杯目はビール」という風習だって、「いや、私甘いカクテルしか飲めないんだけど」とか、いいにくいですよね。
それとか、結婚式で包むお金は、「割り切れない」奇数の枚数で、しかも折り目のないピン札で用意しなければならない。
——たいして親しくもない同僚の結婚式に呼ばれても三万円を包まなければならない、なんともいえない圧力はありますよね。
その三万円があれば、一通りのキャンプ道具が余裕で揃えられますからね。
でも、ソロキャンプは、そういった日常の面倒な人間関係や、しきたり、決まりごとから自由になれるんですよね。
キャンプ自体が日常から離れたくて行くものだけど、グループキャンプだと、声の大きい人の主張ばかりがまかり通ったり、役割分担で揉めたりと、どうしても日常を引きずっちゃうんです。それがソロキャンプにはありません。
自然を前にひとりなのだから、日常のしきたりを逸脱したっていいんです。三食全部カップラーメンでも、最初の一杯目からカクテルでも、誰も文句をいいません。
ふだんは「脇役」の人でも、「主役」になれる
それに、実世界だと、たった1、2年だけ先輩の人にも敬語で気を遣いまくるけど、樹齢100年の大先輩の木にハンモックを吊るして足を向けて寝たって、「俺に足を向けて寝るんじゃない!」って怒られないですから。
自然の中に身を置いていると、人間がいかにちっぽけなことに悩んでいるのかを、リアルに実感できるんです。
だから、ふだん組織の中で働いていたり、人間関係を気にしながら生きていたりして、「あぁ、今日はしんどいな」とか「最近、理不尽なことが多いな」と思ったことがある人ほど、日ごろ味わえない自由をソロキャンプで味わえるから、どっぷりハマる可能性は高いですね。
——小さいことで気を揉み、日常に生きづらさを感じる繊細な人にも、ぴったりの趣味ということですね。
ええ。そういう人にこそ向いていると思います。ふだんは「脇役」にしかなれないと思っている人でも、ソロキャンプでは「主役」になれますから。解放感を味わえるはずです。