お笑い芸人のヒロシさんは「ソロキャンプの達人」として知られている。なぜひとりでキャンプに行くのか。ヒロシさんは「ソロキャンプは人間関係やしきたりから自由になれる。日常に生きづらさを感じる人にぴったりだ」という――。

※本稿は、ヒロシ『大人のソロキャンプ入門』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

湖の近くのキャンプ場でかわいいヴィンテージティーポットのショット
写真=iStock.com/ArtistGNDphotography
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日程調整、他人の幸せ話…グループでキャンプに行くとどうなるのか

——これからヒロシさんにソロキャンプの始め方・楽しみ方を教えていただきたいと思います。そもそも、なぜひとりでキャンプに行くんですか? 単純に寂しい気もするのですが……。

たしかに、そう思う人も多いですよね。なので反対に、グループでキャンプに行くとどうなるかを想像してほしいと思います。

たとえば、あなたが、キャンプに行きたいな、と思ったとします。それで、「よし、今度の土曜日、久しぶりにあいつでも誘おうかな」と友人に連絡を取ってみる。この状況、どう思いますか?

——久しぶりの旧友とのキャンプなんて、楽しそうな状況だと思います。

僕にはその後の最悪の展開ばかりが見えてきますよ。まず日程を合わせるだけでもなかなか大変で、友人から断られるかもしれません。

ヒロシ『大人のソロキャンプ入門』(SBクリエイティブ)
ヒロシ『大人のソロキャンプ入門』(SBクリエイティブ)

それだけならまだしも、「その日は彼女と出かける予定で」とか余計なことまでいわれて、「お前、彼女できたの!?」と、聞きたくもない他人の幸せ話を聞かされるハメになることも大いにあり得ます。

仮に仲のいい友人三人を捉つかまえることができても、その後が大変でしょう。まず、どこのキャンプ場に行くのか、調整しなければなりません。

あなたは「海が見えるキャンプ場に行きたいな」と思っていたのに、声の大きい友人から「だだっ広い原っぱがあるキャンプ場がよくない? そこでフリスビーしたいじゃん!」と提案されたら、声の小さいあなたは反論できないでしょ?

しかも、その行きたくもないキャンプ場を予約するのは、もちろん言い出しっぺのあなたですよ。

行きたいキャンプ場が決まっても、まだまだ試練があります。グループキャンプだと、誰が車を出すか、誰が何を持っていくか、とかの役割分担をしなければならない。もちろん何時に出発するか、とかも決めますよね。

そうして決まった日に、たとえばあなたの体調が悪かったり、気分が乗らなかったりすることもあるじゃないですか。そもそもが希望のキャンプ場ではないんですからね。

でも、「自分が皆を誘っちゃったんだから……」となって、行くしかありません。あなたは声が小さいんだから。