いじめやトラブルに遭っているなら「退職」したっていい!

もしあなたが勤めている職場で「スケープゴート」やいじめなど、怒りによるトラブルが起きていて、上司も何もせず、とても健全とは言い難い状態ならば、自分自身の進退をどのように考えたらいいでしょうか。そういう現場にいると、被害者や傍観者であっても、自分の中に「怒り」が発動します。そして怒りは、自分自身をむしばみ始めます。

怒りへの対処プロセス①は、「刺激から離れる」です。もし、社会情勢や業界の構造上、会社の状況が改善しないのが自明であれば、退社を検討したほうがいいでしょう。

さまざまな非常口のピクトグラム
写真=iStock.com/Denis Maliugin
※写真はイメージです

しかし職場を辞める決断をするか、しないか、見極めは大変難しいものがありますし、人それぞれの人生により、様々な要素が関わり合います。

仕事の負担に対して、自分の報酬がどうなっているか、というバランスが、職場においてはとても大切です。しかし、人にとって「報酬」とは、単に給料や収入面などお金のことだけではありません。社会的なステータスや、大切な人間関係、やりがい、充実感、あるいは将来性なども含みます。待遇面がどんなに良くても、多くの人はそれだけでは働き続けられません。精神的な充足感が得られない仕事は、やがて負担感だけになります。

これを機に、自分の大切にしているものをきちんと洗い出してみましょう。

また、知っておいてほしいのは、もし本人がすでに疲労の3段階、つまり「うつ状態」になっていると、そう簡単には辞められなくなる、というメカニズムです。

疲れ切った状態では、「今の継続を捨てる」という行動も、大変なエネルギーを要するからです。現在勤めている会社がブラック企業で、本人はそのせいで疲れているのに、当の本人が辞めたがらないというケースはとても多いのです。

「退却する」という選択は、元気な状態でないと決断できないこと。今の時点で、職場が自分自身を消耗させていると思うならば、自分自身のエネルギーが本当に枯渇してしまう前に、早め早めに「離れる」選択肢を考えたほうがいいでしょう。

もうすでに、自分では決められない状態に陥ってしまっている場合は、ぜひまだ健全な方に相談してみてください。

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