子育ての経済的負担大:日韓は教育費、欧米は衣服代
こうした教育費の大きな負担は、日本社会だけの特徴なのだろうか。内閣府のこの調査は国際意識調査なので海外諸国と比較することが可能だ(図表2)。
教育費負担、その中でも学校以外の教育費の負担を特に大きいと感じているのは、日本や韓国といった東アジア社会の特徴である。やはり、教育熱心という儒教国としての伝統が影響していると考えざるを得ない。
欧米諸国では、最も大きな経済的負担は、教育費よりむしろ衣服費であると感じている人が多く、文化の差が認められる。衣服費への負担感の差が大きいという点については、制服の制度が普及しているかどうかの差もあろうが、欧米の親は、自分らが属する民族や階級にふさわしい装いを強く意識し、そうした意味で子どもがばかにされないような衣装をさせることをわれわれが考える以上に重要だと考えているからだと見なせよう。
欧米諸国の出生率が日韓ほど低くならない原因としては、保育や教育をめぐる制度的支援の濃淡も影響しているだろうが、やはり、教育関連費用を日韓ほど負担に感じていない点が大きく作用していると考えざるを得ない。