大都市は大学授業料や塾代、地方は仕送りの負担大
次に、図表5では、教育費の中でどんな項目が大きい負担となっているかを、大都市と地方に分けて示した。
大都市では、「大学授業料等」、すなわち大学の学費が教育関係費の32.6%を占め、もっとも大きい。次に「小中高授業料等」が19.0%、「補習教育」、すなわち塾代、予備校代(英語や水泳、音楽などの習い事費用は含まない)が18.1%で続いている。
地方では、「国内遊学仕送り金」が29.8%と最大の割合を占め、次に「大学授業料等」の24.9%、「小中高授業料等」の16.8%が続いている。
このように、大都市と地方でどちらが多いかは異なるが、今や、大学の学費と大学生を都会で学ばせるための仕送り金が教育関係費の2大項目となっており、これらを何とかして抑えなければ、日本の少子化は止まらないことが明らかである。
中国では、親の競争心をあおって生徒を獲得し儲けていた営利目的の学習塾の禁止令が昨年7月に出され、実際、政策の発表から半年で学習塾の8割近くが閉鎖されたという(東京新聞「視点」2022年3月24日)。
中国では2016年に「一人っ子政策」を撤廃し、昨年から3人目の出産も認めたが、出生人口の減少が続いている。そこで、政府は学習塾負担を減らして、2人目以降の子どもを産んでもらおうとしてこの政策を実施に移したのである。
日本の場合は学習塾というよりは大学が元凶である。大学の数を制限したり、大学教員の給与をカットしたり、自宅外からの通学を制限するといった中国並みの強制政策を日本もとれば、少しは教育費負担を削減できるかもしれないが、言論界を大学の先生が支配していて、少子化をもたらす最大の要因は保育分野にあると国民に信じ込ませている現状では、まず無理だろう。そこで、少子化の傾向が反転する見込みは、まずないということになる。