軽自動車はCO2削減に大きな役割を果たす

その意味で、軽自動車はCO2削減に大きな役割を果たす。マイルドハイブリッドシステムは電動車だが搭載バッテリー容量はごく僅かで使用するレアメタルも少ない。車両重量も軽く、拡大されたとはいえボディは小さな軽自動車規格だ。

使っている資源が少ないから自ずとLCAにおけるCO2排出量も少ない。今回の試乗でも立証できたように、WLTC値(カタログ数値)を超える優れた実用燃費は誰でも達成可能だから、人ひとりあたりの移動時に発生するCO2削減効果も大きい。

さらに、現代の軽自動車には大人4人がしっかり移動できる空間があり、その空間は衝撃吸収ボディや衝突被害軽減ブレーキをはじめとした先進安全技術で守られている。環境だけでなく人にも優しい。軽自動車は究極のパーソナルモビリティだ。

2016年に続き、再び軽自動車税の税率引き上げが囁かれている。単に販売台数が多いから、登録車との価格差が大きいから、といった事柄を理由に増税の矛先を向けるのは早計であろう。

目指す温室効果ガス削減とその先にあるカーボンニュートラル化に対して、軽自動車が担える役割は大きい。そして軽自動車は、この先も小さな巨人であり続ける。

新型アルトの後部座席
筆者撮影
身長170㎝の筆者が運転席で正しい運転姿勢をとった際の後部座席。大人が十分座れる広さがある
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