陸上自衛隊の人々はどんな休日を過ごしているのか。元陸上自衛官の“ぱやぱやくん”さんは「規則正しい生活をしている反動で、休日は自堕落な生活に走ることも多い」という――。

※本稿は、ぱやぱやくん(著)・原田みどり(イラスト)『陸上自衛隊ますらお日記』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

さまざまなケーキ
写真=iStock.com/chikaphotograph
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クリスマスは徹夜でモンハン…“オタク隊員”たちの活躍

陸上自衛隊の生活において一番楽しいのが休日の外出です。いくら駐屯地の中では衣食住タダで生活できるといっても、いきなり裸族が登場したり、洗濯機の使い方に激怒する班長がいたりする世界は疲れてしまうのです。営内にいる隊員は基本的に土日しか外出できないため、金曜日になると「明日は外出ができる!」という高揚感からソワソワし、理想の休日を何回も何回もシミュレーションします。

そんなますらお(※)への最大のお仕置きはもちろん、「外出禁止」です。外出禁止となると、休日も駐屯地内で生活しなくてはいけません。そうなると売店でアイスを買って食べたり、厚生センターにある『美味しんぼ』をボンヤリした顔でパラパラめくったりして過ごすのが関の山になるのです。

※ここでは「陸上自衛官=ますらお」とする。

また、外出禁止以外にも「残留要員」となって外出できないことがあります。いつ緊急事態が起きてもいいように、休日でも若手隊員を残しておく必要があるのです。休日は誰が残留するかで揉め、「なんで俺ばっかり残留させるんだ!」と大喧嘩になることもあります。特にクリスマスやバレンタインデーなどのビッグイベントでは、誰がジョーカー(残留要員)を引くか熾烈しれつな争いを繰り広げます。

こういうときは非モテのオタク隊員達の出番となり、「聖なる夜は俺達に任せな!」と言い、ジョーカーを引き受けます。彼らは営内に残り「クリスマスをぶっ潰す」とか言いながら、徹夜でモンスターハンターなどのゲームをします。素晴らしい緩衝材要員ですね。

魔法のアイテム「外出許可証」

外出予定があるますらおは、洗濯、掃除、プレス、靴磨き、部屋の整理整頓をして出発します。家事をばっちり行う主夫の朝みたいですが、しっかりと日常の整理整頓をしておかないと、意地悪な姑のように口うるさい先輩隊員がやってきて「お前は何もしていないのに外出をするのか!」とネチネチ言われるので大変です。

外出をする際は朝に当直室へ行き、身分証持参を当直幹部に示して、外出許可証といわれる魔法のアイテムをもらいます。

これで晴れて外出できるわけですが、もちろん休日なので制服ではなく私服を着用します。しかし、陸上自衛官の私服は一言でいえば「ユニーク」です。