駐屯地近くのスイーツ食べ放題には「重いケーキ」が多い

営内生活をしている彼らは規則正しい生活を余儀なくされるので、その反動で休日は自堕落な生活に走ることも多いです。といっても1~2日ぐらいの短い期間なので、さしずめ「ファッション自堕落」といったところでしょうか。二郎系のデカ盛りラーメンと格闘したり、パチンコ屋で『北斗の拳』の世界を楽しんだりする人達が比較的多いです。エッチな大人のお店にいく人も中にはいますが、「待合室に行ったら知り合いばっかりだった」という悲しい結末もよく聞きます。

一方で休日にもストイックな過ごし方をする隊員も多く、筋肉の聖地であるゴールドジムで体を鍛え、サウナで限界まで追い込み、ホワイトアウトする人達もいます。部隊の訓練じゃ足りないと言い、「俺は絶対にレンジャーになって、水陸機動団(※)に行くんだ!」と自主的にラックサックマーチをしたり、武装走をするますらおまで出現します。

※水陸機動団:海から上陸をして戦う精鋭部隊。いわゆる海兵隊(マリーン)。最近では海外の軍隊とも共同訓練などを行っている。

さらに、甘いものを求めて集団でスイーツ食べ放題に行き、ショートケーキやエクレアを次から次へと食べる人達もいます。甘いものに飢えた短髪のますらお達はスイーツを食べ尽くしてしまうので、店側の抵抗で「いや、今は2時間待ちで……」などと明らかに席が空いているのに言われることもたまにあるようです。しかし、ますらおは「なぁに、腹が減ってちょうどよい」とそのまま2時間待つことのほうが多いので無駄でしょう。そのため、駐屯地近くに店舗を構えるスイーツ食べ放題の店は、たくさん食べられてしまうフワフワのケーキではなく、バナナが入ったような重めのケーキで襲撃に備えようとしています。

「まるで魚河岸のマグロ」酔っぱらいはリヤカーで駐屯地まで運ぶ

夕方頃になると、街に潜伏していた陸上自衛官達が巣から出てくるようになり、駅前の広場や駐屯地近傍の商店街に集結するようになります。彼らにとって飲み会こそが本番であり、昼間の活動はあくまでもウォーミングアップにすぎません。

ぱやぱやくん(著)・原田みどり(イラスト)『陸上自衛隊ますらお日記』(KADOKAWA)
ぱやぱやくん(著)・原田みどり(イラスト)『陸上自衛隊ますらお日記』(KADOKAWA)

なお、いくら飲み会が好きでも、外泊が許されていない場合は夜の門限までに帰る必要があります。飲みすぎて足腰が立たなくなっている人がいる場合、タクシーに詰め込み、駐屯地の営門まで連れていきます。そしてリヤカーを引いた若手がやってくるので、そこに放り込み隊舎まで運んでいきます。リヤカーがない場合は、段ボールなどの運搬に使用するキャリアーに酔っぱらいを乗っけて運んでいきます。まるで魚河岸のマグロですね。

ますらおライフは、多少の差はありますが大体はこんな感じです。もちろん、このような姿はメディアで放送されることはありませんし、一般社会で暮らしている人が目にすることもありません。ただ、このような感じでますらお達は暮らしているのです。

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