「もっといろいろな仕事に挑戦したい」「新しい環境で自分の可能性を広げたい」。そんな思いから転職を考えている人もいるのではないでしょうか。35歳以上の転職事情に詳しい黒田真行さんは「そうした考えをもってベンチャー企業への転職を検討する人がいますが、転職先で“予想外の現実”に直面することも多い」といいます──。
頭の痛い問題に突き当たった女性
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◆今回のお悩み
新卒で大手企業に入社し、今年で17年目になります。残業も少なく、さまざまな制度が整っていて働きやすいのですが、長い間同じ部署にいて仕事に慣れ切ってしまい、最近は成長を感じられる機会がありません。この先も同じ仕事を繰り返すだけなのかと、キャリアに停滞感を覚えています。
そこで、新しい挑戦をしたい、自分の可能性を広げたいと思い、ベンチャー企業への転職を考え始めました。ベンチャー企業でならいろいろな挑戦ができるのではと思っていますが、自分が通用するのか、社風になじめるのかなど不安もあります。アドバイスがありましたらお願いします。(39歳・大手メーカー勤務)

大手とベンチャーの働き方の違い

一般的に、大企業とベンチャー企業では社風や考え方、スピード感が大きく違います。こうした違いはもちろん大企業の間でもありますから、まずは今の会社と転職先では、社風も働く環境も違って当然と考えておいてほしいと思います。

違う環境を求めて転職した人でも、「前の会社ではこうだったのに」と不満を漏らす人は意外と多いものです。例えば、長いこと大企業に勤めていてある程度の年収をもらっていると、「この年齢ならこの額が普通」と思い込んでしまいがちです。

しかし、転職して年収が下がることは珍しくありません。前職で管理職になっていても、転職先では一般社員からのスタートという場合もあるでしょう。

働き方についても同じです。近年、大企業では働き方改革が進み、長時間労働や業務の属人化などさまざまな問題が解消されつつあります。でもベンチャー企業は少数精鋭型のところが多く、そうした会社では一人ひとりが幅広い仕事をこなしていく必要があります。

一口にベンチャー企業と言ってもさまざまですから、残業ゼロだったり完全分業制だったりする会社もあるでしょうが、傾向としては、大企業に比べて一人ひとりの守備範囲が広くなりがち。それを「新しい挑戦が多くて楽しい」と捉えるか、「やることが多すぎてつらい」と捉えるかはその人次第です。