若者が減り、高齢者が激増していく日本
各国で少子化が深刻化してきた。2020年の合計特殊出生率を確認すると、中国は日本(1.34)と同水準の1.3だ。人口増加が続いている米国も1.64で人口維持し得る水準には程遠い。韓国に至っては0.84と危機的状況である。いずれの国も早晩、日本と同じく激しい人口減少社会を迎えることとなる。
各国でこれから起きることについては、先月上梓した拙著『世界100年カレンダー』(朝日新書)に詳しいのでそちらに譲るが、各国を比べると現状では日本の深刻さが際立つ。少子化だけでなく、高齢化が世界最速で進行しているためだ。
総務省によれば、2021年9月15日現在の日本の高齢化率は29.1%と過去最高を更新した。高齢者数は2040年代初頭に4000万人ほどでピークを迎えるまで増え続ける。すなわち、今後20年の日本は、若者が減る一方で高齢者だけが激増していく極めていびつな社会となる。
悪いことに、コロナ禍によって出生数の減少スピードが速まりつつある。各国の感染状況に差があるため訪日外国人の回復も当面見込めない。こうした厳しい条件下で、旺盛な消費者でもある勤労世代(20~64歳)は2020年現在の約6900万人から2040年には5500万人程度にまで減ると予測されている。コロナ禍の影響が長引けば、2041年以降の予想はさらに悪い方向へと書き換えられることだろう。
「こども庁」を作るのが遅すぎる
そうでなくとも、2043年以降になると高齢者までもが減り始める。この頃になると、日本の総人口は急降下するように減っていく。これが日本を待ち受ける「未来の年表」のリアルだ。
政府はいまさら「こども庁」を新設しようとしている。それ自体を否定するつもりはないが、タイミングが遅すぎる。日本の置かれた状況は、子育て支援策の充実だけではなく、出生数の減少が止められない事態を念頭に置いた政策も考えなければならない。
直近の課題を挙げるならば、国内マーケットの縮小と人手不足は延々と続くこととなる。このうち人手不足は、デジタル化の推進によってある程度まではやわらげられるだろう。だが、機械は消費者になり得ないのでマーケットの縮小のほうは避けられない。それは内需に頼ってきた多くの日本企業にとって死活問題となる。よほど収益構造を変えない限り、多くの企業がマーケットからの退場を余儀なくされるだろう。