2021年上半期(1月~6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。ライフ部門の第4位は——。(初公開日:2021年4月30日)
痴漢だと疑われたとき、どうすれば冤罪を避けられるのか。ライターの松沢直樹氏と弁護士の山岸純氏は「痴漢冤罪では、『弁護士の手配が遅れれば遅れるほど無実を証明するのは難しくなる』と認識したほうがいい。弁護士と家族にいちはやく状況を報告してほしい」という――。(第3回/全3回)
※本稿は、松沢直樹、山岸純(監修)『おっさんず六法』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
痴漢だと勘違いされたら絶対に謝ってはいけない
この法律で身を守れ!
【刑事訴訟法第203条】警察が、犯罪を犯したと思われる者(被疑者)を逮捕した場合、48時間以内に証拠を固めて検察庁へ送致できない場合は、身柄を釈放しなければならない
──通勤電車のつり革につかまって、スマホでゲームしてたら、目の前に立ってた女性が振り返って叫んだ。「この人痴漢ですっ!」オレ、つり革につかまってるじゃん。なんてことも言えず、次の駅で引きずり降ろされた。
あっと言う間に警察がやってきて、両脇をつかまれて連行。オレ、このまま前科者になっちゃうの……?
男性諸君はみな、これを読んで震え上がったことと思う。まずはこうした事態に巻き込まれたときに、身の潔白を証明する方法から解説していこう。
痴漢だと言われたら、対象女性に対し絶対に謝罪してはいけない。日本人の常識的な考えでつい謝ってしまいがちだが、仮に刑事裁判にかけられた場合、この常識が仇となる。裁判所は「身に覚えがないのなら、なぜ謝ったんですか?」と一蹴、あなたを有罪にしてしまうからだ。
こうした場合は、身に覚えがないことを根気強く訴えつつ、以降の説明を参考に日弁連の当番弁護士を呼ぶことを要求したい。
また、押し問答になったとき、相手の女性の衣服には絶対に触れないこと。警察は物的証拠を検察庁に送るために、女性の衣服の繊維があなたの手のひらに残っていないかを検査する。女性の衣服に触れてしまうと、あなたが痴漢を行ったという証拠をわざわざ作ってしまうことになる。まずはこのふたつを頭に叩き込んでいただきたい。
つぎに守ってほしいのは、逃亡しようとしないことだ。駅には防犯カメラがあちこちにあるし、自動改札の履歴情報を調べれば簡単にあなたにたどりつける。こうなると最悪だ。警察は証拠を隠滅しようとして逃げたと判断、刑事裁判に発展した場合、とことん不利な立場になってしまう。