夫の不倫に妻が気づくのはどんなときか。夫婦問題研究家の岡野あつこさんは「バレやすい不倫をする夫には、“隠せない夫”と“隠さない夫”の2パターンがある。後者の場合は特に深刻だ」という――。
布団に横たわった人の爪先
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夫たちが残した「雑すぎる不倫の証拠」

「夫の行動がいつもと違って感じられた」「夫の目を見て、ふと『何かがおかしい』と思った」などと、夫の変化を敏感に感じ取る妻の話を聞くことがある。多くの場合、それは夫が不倫をしていることに妻が直観で気づいた瞬間のエピソードとして語られる。いわゆる「女の勘」というものかもしれない。

ところが、世の中には「女の勘」に頼らなくても、やすやすと夫の不倫に気づくことがある。夫の“隠蔽いんぺい工作”が雑すぎる場合もそう。つまり、不倫をしているにもかかわらず、妻に対してそれを入念に隠そうとしない、あるいは隠す手段がお粗末すぎるケースだ。

夫たちが残した“雑すぎる証拠”から、いとも簡単に発覚した不倫のケースを紹介する。

※プライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

仕事の車を使ってラブホ通いをしていた夫

【CASE1】消し忘れたままの「カーナビの履歴」

結婚15年目のYさん(42歳)は、自営業の夫(45歳)と中学生の子どもの3人家族で暮らしている。Yさんの夫は、2人が出会った学生の頃から真面目なタイプだったこともあり、「まさか夫が不倫をするなんて夢にも思わなかった」と話す。

Yさんが夫の不倫に気づいたのは、子どもを新しい習い事の体験レッスンにつれていく時のこと。Yさん自身がいつも乗っている車を車検に出していることもあり、夫が仕事で使っている車を借りたところ思わぬ形で不倫は発覚した。Yさんが行き先をカーナビに入れようとした時、ミスタッチにより履歴リストが表示されたのだ。「夫は自分の仕事の車を使って、何度もあちこちのラブホテルに行っていたことがそこで初めてわかった。しかも、私や子どもとは行ったことがないテーマパークやショッピングモールにもたびたび訪れていた」。

夫の不倫が発覚した時、Yさんの胸によぎったのは、夫や愛人への怒りではなく、「ガッカリ感」だったという。「真面目で仕事ひと筋だった夫の不倫に驚いたのは事実。ただ、結婚15年目ともなれば、夫に昔のような情熱的な恋愛感情を抱くこともないので、いまさら不倫の問題を騒ぎ立てようとは思わない。残念だったのは、夫が夫婦としての礼儀を忘れてしまっていたという点。私が車に乗るとわかっていながら、カーナビの履歴を消して不倫の痕跡をなくそうとする気遣いも、夫にはもうないのかと思ったら情けなくなった」。

現在、Yさんは「離婚はしないが、今後の不倫抑制のため、今回の不倫相手から慰謝料を支払わせるなどして、夫に“お灸をすえる”ことを検討中」だという。