強まる与党への逆風、総選挙を控えるドイツでも
コロナ禍の収束にめどが立たない日本では、総選挙のタイミングが後ずれしている。緊急事態の期限は9月12日だが、このままでは延長が必至だろう。こうした中で総選挙の前哨戦である横浜市長選が8月22日に行われ、野党系候補の山中竹春氏が菅総理の支援した小此木八郎氏に大差で勝利、与党・自民党への逆風の強さを表す結果となった。
他方で、ヨーロッパのドイツは9月26日に総選挙を控えているが、こちらはまれに見る混戦となっている。躍進が予想され、一時は次期の首相を輩出する可能性さえ指摘された環境政党、同盟90/緑の党の勢いが目に見えて失速しているためだ。代わって台風の目となっているのが、それまで劣勢であった中道左派政党、社会民主党(SPD)だ。
世論調査会社フォルサ(Forsa)が8月24日に公表した最新の調査によれば、SPDの支持率は23%とメルケル首相を擁する「保守連合」〔キリスト教民主民主同盟(CDU)と姉妹政党の同社会同盟(CSU)の連合〕の支持率22%を抜いて一位に浮上、同盟90/緑の党の支持率(18%)を引き離した。
このようにドイツの総選挙は文字通り「三つ巴」の様相であり、情勢は混沌としている。当初、次期の連立政権の組み合わせは保守連合と同盟90/緑の党による「黒緑連立」になるという見方が有力であった。しかし同党の失速とSPDの復調を受けて、一転して次期の連立政権にも引き続きSPDが参加する可能性が高まっている。
むしろSPDを核に、保守連合と同盟90/緑の党が参加する「赤黒緑連立」の組み合わせが生まれるという見方さえ強まってきた。SPDは政権政党としての経験も豊かであり、保守連合とも長年にわたってパートナーを組んできた。一方、同様に左派の政党として同盟90/緑の党ともうまく付き合うことができると考えられるためだ。