7月4日に投開票された東京都議会選挙で、公明党は候補者全員が当選を果たした。『宗教問題』編集長の小川寛大さんは「公明党は候補者を確実に当選させる力をもっているが、それを今後も続けられるとは限らない。なぜなら支持団体である創価学会の『宗教パワー』が衰えているからだ」という――。
東京都議選で当選確実の候補者の名前に花を付ける公明党の山口那津男代表(左)と石井啓一幹事長=2021年7月4日夜、東京都新宿区の公明会館
写真=時事通信フォト
東京都議選で当選確実の候補者の名前に花を付ける公明党の山口那津男代表(左)と石井啓一幹事長=2021年7月4日夜、東京都新宿区の公明会館

都政関係者の「公明党が悪い」という声

「公明党の動きは怪しいよ。何か証拠があるわけじゃないけど」

7月4日投票の東京都議会議員選挙が終わった後、ある自民党都連関係者は静かな怒気を見せながら、そんな感想を漏らした。

今回の都議選に関しては、多くの政界関係者が「勝者なき戦いだった」と総括する。なるほど、都議会の定数127に対し、主要各党の獲得議席数は自民33、都民ファーストの会31、公明党23、共産党19、立憲民主党15といったところ。

まるで、どんぐりの背比べのような拮抗きっこう状態だ。選挙協力をした自民+公明や、共産+立憲といった野党連合の構図を考えても、都議会の過半数を確保できる勢力は存在しない。

今後の都政が混迷の度を深めるだろうことは必至だ。

一方で選挙前、政界周辺では小池百合子都知事が特別顧問を務める都民ファースト(都ファ)の壊滅的敗北と、自公勢力による過半数確保という観測が広がっていた。実際、多くの政治ジャーナリストや選挙ウオッチャーは、今回の都議選結果に関し事前の予想を外している。

そしてその目算ミスの中心は、「都ファが意外に負けなかった」ことと、「自民があまり伸びなかった」ことを予測できなかった点にある。その原因が何だったのかに関しては、現在各所でさまざまな分析が行われている。

ただ冒頭にあげたように、一部都政関係者の間から「公明党が悪い」という声が出てきている事実があるのだ。