※本稿は、井戸美枝『私がお金で困らないためには今から何をすればいいですか?』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
介護離職した58歳女性の場合
58歳・独身。16年前に離婚し実家に戻る。4年前に母が倒れ介護離職し、現在無職。母の年金と預貯金300万円を頼りに、在宅介護をしている。
介護はできるだけ外注し今すぐ再就職を目指す
A子さんがこのまま60歳まで無職だった場合、65歳以降にもらえる年金は老齢基礎年金74万1900円、老齢厚生年金25万円、離婚時の年金分割が20万1300円(元夫の年収は400万円)で合計119万3200円となり、月10万円で生活をすることになります。現在はお母さまの年金収入もあるので、それほど生活は苦しくないのかもしれませんが、いざ一人になった時の生活は立ち行かない可能性も出てきます。
これからのA子さんにおすすめする対処法は、お母さまの介護は介護サービスを活用し、ご自分はすぐに再就職をし、正社員を目指すこと。最初はパートや派遣社員で年収200万円くらいの収入で働き、60歳で正社員となり、そのまま70歳まで働き続けると仮定します。正社員になることで、厚生年金の額を増やすことができ、65歳以降の年金額は140万3200円にアップします。月に換算すると12万円になり、生活の不安はグンと解消されます。
50代からの再就職は簡単ではないかもしれません。ですが、このまま在宅介護を続けた場合、その期間が長ければ長いほど、再就職への道は厳しいものになります。また非正規社員から正規社員への登用についても難しさを感じる人が多いでしょう。でも相談者の中には、中小貿易会社で派遣社員として海外との取引事務の仕事で活躍し、会社が取引エリアを広げるタイミングで正社員になった女性がいます。正社員になったのが60歳目前でした。スキルがある人には企業はずっと働き続けてほしいのです。
早めに行動を起こし、厚生年金に加入する期間を少しでも伸ばすことで、年金受給額も変わってきます。勇気をもって一歩踏み出してみましょう。