収束の兆しが見えない新型コロナウイルスをめぐり、中国が途上国を中心にワクチンの大量供給を続けている。ロンドン在住のジャーナリスト、木村正人さんは「ワクチンを通じて、世界への影響力を強めようとしている。とりわけ途上国は中国製ワクチンに頼るしかないのが現状だ」という――。
2021年7月8日、ジンバブエのハラレにあるロバート・ムガベ国際空港で、中国からの200万人分の新型コロナウイルスワクチンの一部をコンテナに積み込む準備をする作業員。
写真=EPA/時事通信フォト
2021年7月8日、ジンバブエのハラレにあるロバート・ムガベ国際空港で、中国からの200万人分の新型コロナウイルスワクチンの一部をコンテナに積み込む準備をする作業員。

加速する中国の「ワクチン外交」

中国の国家衛生健康委員会は7月5日、中国全土で計13億回分の新型コロナウイルスワクチンを接種したと胸を張った。6日間で1億回接種というハイペースだ。

習近平国家主席は経済圏構想「一帯一路」の柱に「健康」を加え、ジョー・バイデン米大統領の“中国抑え込み外交”に対抗して、99カ国に4億500万回分以上を供給する「ワクチン外交」を展開中だが、中国製ワクチンを接種した国々で感染爆発が止まらず、批判が噴出している。