中国製ワクチンは効くのか、効かないのか
中国製ワクチンは本当に効かないのか。異なるワクチンの有効性を単純に比較することはできないが、臨床試験での有効性を押さえておこう。これまでに世界保健機関(WHO)の緊急使用リストに加えられたワクチンは次の通りだ。
最先端のm(メッセンジャー)RNAテクノロジーを活用したファイザー製とモデルナ製のワクチンは安全性も有効性もずば抜けて高い。アデノウイルスをベクター(運び屋)に使ったアストラゼネカ製とジョンソン・エンド・ジョンソン製のワクチンも優秀だが、ごくまれに血小板の減少を伴う血栓症を発症する深刻な副反応が報告されている。
mRNAワクチンに比べると、コーヒー1杯の値段でワクチン1回分を接種でき、普通の冷蔵庫で保管可能なため当初「途上国の救世主」と期待されたアストラゼネカ製でさえ、安全性も有効性も見劣りする。日本のように裕福な国ではどうしても「安価なアストラゼネカ製より高価なmRNAワクチンを」という流れになる。
米欧が開発した4つのワクチンは人の体内で遺伝子コードがコロナのスパイク(突起部)タンパク質を産生する「遺伝子治療」なのに対して、中国のシノファーム製、シノバック製はウイルスを不活化させて体内に注射する従来の技術を使っている。
臨床試験での有効性が90%を超えるmRNAワクチンに比べて中国製ワクチンの効き目が弱いのは、安全性を重視すれば有効性が弱まるというこれまでのワクチンが抱えるジレンマから完全には抜け出せないからだ。