職域接種は「国からの供給の滞り」で新規受付が停止に
新型コロナのワクチン接種が大混乱している。6月下旬から本格化した企業や大学での職域接種は、国からの供給の滞りで新規の受付が止まってしまった。自治体による大規模接種の予約も一部で停止状態が続いている。早期接種が必要な高齢者や基礎疾患(持病)のある患者への接種も大幅に遅れている。
河野太郎・行政規制改革相は7月6日に記者会見し、市区町村向けのファイザー製ワクチンについて「8月と9月は2週間ごとに1170万回分を配送する」と発表した。この配送量は7月分と同じで、全国の市区町村が希望する量の3分の1に過ぎない。自治体への供給不足は8月以降も続く可能性が高い。
この会見で河野氏は「一定量の在庫を保有する自治体への配分を減らす一方で、接種ペースが速い自治体に融通したい。自治体は在庫の数と供給見通しをベースに接種計画を立ててほしい」と呼びかけた。
さらに河野氏は「モデルナ製のワクチンは、6月末までの供給量が当初計画の4000万回分より大幅に少ない1370万回分だった。世界的な需要の高まりが原因で、不足分は第3四半期(7月~9月)に供給を受ける」と語った。
「自治体など市中に4000万回ほどの在庫があるはず」
6日には田村憲久・厚生労働相も閣議後の記者会見の中で、ファイザー製ワクチンの不足について次のように話した。
「6月末までに9000万回分が自治体向けに配送された。接種回数は5000万回との報告が上っているから自治体など市中に4000万回ほどの在庫があるはず。たくさん打っている自治体と進んでいない自治体とのミスマッチをどう解消するか対応したい」
「接種が進んでいれば多く配り、進んでいなければ調整して配るのが一つの方法だろう」
河野氏も田村氏も自治体が在庫を抱えていることを問題視するが、果たしてそれだけがワクチン不足の原因なのだろうか。